カスタムキャストやVカツなどのアバター作成サービスに見る「流行」の存在と課題
しかし、このシステムにはまだ「齟齬」があると言わざるを得ない。バーチャルYouTuberの流行、という流れからこれらのサービスは誕生し、そしてこれら目をつけた人々の大半は「もう一人の自分」を作り出すことにこそ目的があるはずだ。だが、「Vカツ」も「カスタムキャスト」も、それぞれで「色」が出てしまっている。見る人が見ればどのソフトで作られたのかわかってしまうのが現状だ。
もちろん開発者側から見ればそこはアイデンティティとして保つべきところなのかもしれないし、最初から明確なのであれば盗作を疑う余地は無い。だが、ユーザーは「アイデンティティを作ろう」としているのである。手軽であれば手軽であるほど、アイデンティティは薄くなってしまう。結局はこれらのソフトに頼らず、完全オリジナルのモデルが欲しくなってくるのは自明だろう。これらと同様のソフトが星の数ほど登場すればある程度アイデンティティは担保されるかもしれないが、まだまだ先の話になりそうだ。
もちろん、「もう一人の自分を作る」ということ以外にもこれらのソフトは応用が効く。例えばオリジナルのモデルを作るにあたり、その前身や資料を作るにあたって大きな力を発揮するだろう。「Vカツ」などは「kawaiiコンテスト」を開催するなど、独自の盛り上げ方を見せている。しかし、やはり前述した「手軽さ」と「アイデンティティ」の間に発生するジレンマをすっきりと解決する何かがあれば、時代は人類一人一人がアバターを持つ方向へと加速するだろう。
■じーえふ
1995年生まれ。大学中退フリーター。バーチャルYouTuberに真剣。