世界規模で音楽起業家を支援 『Techstars Music』キーマンに聞く「いま音楽スタートアップをサポートする意義」
「スタートアップにとって意思決定のスピードは必要不可欠」
ーー日本では、音楽業界とテクノロジー業界間での連携や新規ビジネス開発、投資がなかなか定着してきませんでした。一方でレコチョクや2018年にエイベックスがTechstars Musicに参加するなど、流れは変わっています。なぜ、このタイミングで、音楽スタートアップを支援するべきだと考えたのですか?
ボブ:グローバル規模で、音楽ストリーミングサービスへ向けた業界シフトは避けて通ることはできません。その中で、日本の音楽市場は非常に大きな可能性を秘めています。レコチョクやソニーミュージック、ワーナーミュージック、エイベックスなど私たちのパートナー企業は、この2年間で音楽ストリーミングがもたらすビジネスチャンスの規模と、変化の必然性を理解してきた企業です。業界とのコラボレーションが利益を生み出す。それはTechstarsでの哲学でもあります。
ーー今後の成長に期待している音楽業界向けのテクノロジーがあれば教えてください。
ボブ:人工知能(AI)は、業界や経営者が考えている以上に変革を起こす可能性があると私は考えます。そしてAIが生み出すビジネスチャンスを掴むのは、A&Rやオーディエンス開発、マーケティングに長けた音楽企業だと思います。
ーーTechstars Musicやアクセラレーター・プログラムに対する海外のレコード会社や音楽業界の方のかかわり方を教えてください。
ボブ:私たちのプログラムでは、300人以上のメンターたちがスタートアップ支援のために、時間を惜しみなく提供してくれています。メンターには、現役アーティストや企業のCEOなどもいますし、多くは副社長やシニアレベルの役職にいる人たちですよ。メンターたちは、支援するスタートアップが概念実証や試験的ビジネスを行いたい際に、上司の許可を取ることなくゴーサインを出して欲しいというルールがあります。スタートアップにとって、意思決定のスピードは必要不可欠だからです。また、その場で支援した企業や経営者が、スタートアップと最も友好的な関係を構築することもあるのです。
(取材・文=ジェイ・コウガミ)
■Techstars Music 2019 のメンバー企業
Avex Inc.、Bill Silva Entertainment、Concord Music、Q Prime Management、レコチョク、Royalty Exchange、SAM 、SONY、WMG
https://www.techstars.com/programs/music-program/
[Techstars Music 2019 スケジュール]
2018年 10月14日:スタートアップ企業の応募締切
2019年 1月上旬 :優秀企業10社を選定
2月~4月:起業家支援プログラム実施
5月上旬:Demo Day (プレゼン)
Techstars Music 2019に関するボブ氏の解説、応募はこちらから(日本語)
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