エイベックスやビヨンセが惚れた高音質スピーカー日本上陸　「デビアレ」が示す音体験テクノロジー

　デビアレが世界中で支持を集めている理由の一つは、音楽業界やテクノロジー業界からの高い注目度だ。「一番有名なユーザーは、ビヨンセとジェイ・Zですね。お二人で20台の製品を持っています。お風呂場だけで3台置いてあるそうです。また、ブラック・アイド・ピーズのWill.i.amも、スタジオで使われています」とフェネック氏は明かした。さらに、高い技術開発力はテクノロジー業界からの注目を集め、グーグルでAndroidを開発した起業家のアンディ・ルービンや、アップルでiPodを発明してIoTスタートアップのNestを創業したトニー・ファデルCEOも、デビアレをサポートしているそうだ。さらには、フランスのエマニュエル・マクロン大統領もPHANTOMユーザーだという。

　著名ユーザーからの支持に加えて、デビアレの店舗や販売戦略も話題を呼んでいる。その一つは、有名なパリ・オペラ座内に2017年10月オープンした専用店舗だ。この店でしか味わうことのできない音楽体験についてフェネック氏は「丸い形のデザインの店内には、壁に16台、真ん中に一台のPHANTOMを設置しています。真ん中に座ると、各PHANTOMがオーケストラの各楽器のパートを一つづつ再生して360度からオーケストラの音響体験で楽しむことができます」と語った。また、デビアレとオペラ座が共同制作した限定モデルのPHANTOMには、オペラ座の屋根に据り付けられている黄金の像を手がけた職人さんの手によって、金箔で加工されているという。さらにルイ・ヴィトンとデビアレは、PHANTOMを含めたDJセットアップが収納できる伝統的な旅行ケースを作り製品化させるなど、フランスの伝統職人とのコラボレーションにも力を入れている。

　最後にフェネック氏は、日本では伊勢丹とツタヤで一般販売が決定したことを発表した。伊勢丹新宿店では、9月19日からデビアレ専用コーナーをオープンする予定。ツタヤでの販路はまず二子玉川の蔦屋家電でPHANTOMを展示し販売を行っていく。

　デビアレのPHANTOMは「The New」（24万9000円）「SILVER」（31万9000円）「GOLD」（39万9000円）の3機種展開。アクセサリーとしてPHANTOMにマッチしたデザインのトライポッド型スタンド「Treepod」や、複数の部屋での再生を制御するネットワークハブ「Dialog」なども発売する。

　PHANTOMの日本上陸は、日本のテクノロジー業界やスタートアップ界隈で近年注目が高まっている「フレンチテック」の可能性を感じさせる流れだ。今年7月には、フランスと日本のスタートアップ支援や共同出資プロジェクトを含む、イノベーション分野での協力関係強化を日本政府とフランス政府が発表した。マクロン仏大統領が自国を「スタートアップ・ネイション」と評価するほど、世界で躍進するフランスのスタートアップのモノづくりは、日本人ユーザーにどう受け入られるだろうか。今後の動きに注目したい。

■ジェイ・コウガミ
デジタル音楽ブロガー。音楽ブログ「All Digital Music」編集長。ブロガーとして音楽サービスや音楽テクノロジーなど、日本のメディアでは紹介されない音楽の最新トレンドを幅広く分析し紹介する活動を行う。オンライン、雑誌に寄稿するほか、講演やテレビ、ラジオなどで活動。日本初ITx音楽のハッカソン「Music Hack Day Japan」審査員。オレゴン州ポートランド育ち。趣味はアナログレコード集め。http://jaykogami.com

■伊勢丹新宿店本館5階
9月19日（水）よりDevialet専用常設コーナーオープン。
9月7日（金）～9月8日（土）に開催される伊勢丹の外商顧客向け催事、「丹青会」にも出店。
伊勢丹新宿店（〒160-0022 東京都新宿区新宿3-14-1）

■蔦屋家電
9月6日（木）より、1階音楽フロアにて販売開始。
二子玉川蔦屋家電（〒158-0094 東京都世田谷区玉川1丁目14番1号 二子玉川ライズS.C. テラスマーケット）