『未来のミライ』をデジタルアートの視点で読み解く スタッフが語る、CG制作の苦労とオリジナリティ

『未来のミライ』スタッフが語る、CG制作の苦労

 集まった子どもたちからの質疑応答の場面では、堀部氏に対して「CGで一番難しかった作業はなんですか?」という質問が。堀部氏は「雪がふるシーン」と答え、「監督には、『雪の量はこのぐらいで、ふるスピードはこれぐらい』と指示されて、それから『雪は必ずしも白いわけではない。雪がふってくるのを下から見ると、逆光で黒く見えるんだ』とも言われました」と言葉を続けた。質問した子もこれにはさすがに驚いたようで、「そんなに細かいんだ……」と素直な反応を見せ、大人たちを和ませていた。

 こうした、監督の無理難題や型破りなアイディアにもスタッフが応え、一つひとつ実現させていく作業を繰り返す中で、細田監督作品には他にはない生命が吹き込まれていくのだろう。完成したアニメーション映像を流した際には、子どもたちから「すげー!」という声があがり、製作陣も目尻を下げていた。

 パネルディスカッション終了後は、デジタルアート体験ワークショップも開催された。タブレットを使って思い思いに絵を描く子どもたち。彼らを見ながら「もしかしたら、この中から次世代の細田守監督となる存在が出てくるかもしれないな……」と考えていると、こちらまでなんだかワクワクしてしまうような夏休みの一日だった。

(取材・文=まにょ)

■公開情報
『未来のミライ』
全国東宝系にて公開中
声の出演:上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
監督・脚本・原作:細田守
作画監督:青山浩行、秦綾子
美術監督:大森崇、高松洋平
音楽:高木正勝
オープニングテーマ・エンディングテーマ:山下達郎
企画・制作:スタジオ地図
配給:東宝
(c)2018 スタジオ地図
公式サイト:http://mirai-no-mirai.jp/

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