デジタルギターからアンプシミュレーターまで ポータブルな音楽レコーディング機材4選
Spire Studio
最後に紹介するのは、「Spire Studio」。なんと本体だけで、8トラックまでのマルチレコーディングが可能なオーディオインタフェースである。
「Spire Studio」には高品位なコンデンサーマイクが内蔵されており、背面にはMIC/LINE入力端子を装備。ボーカルやアコギをマイクで録音したり、エレキギターやシンセをライン接続して録音したりすることができる。さらにファンタム音源も搭載しているので、お気にいりのコンデンサーマイクを接続しての録音も可能だ。
使い方は、とてもシンプル。NewSongを作成し、Recボタンを押せばすぐにレコーディングを開始する。これを繰り返すことによって、8トラックまでのマルチレコーディングが、24bit / 48kHzという高音質でできる(WAVフォーマット、エクスポート時は24bit/44.1kHz)。なお、上部のLEDメーターはタッチパネルになっているので、入力感度などを本体でコントロールが可能だ。
これだけでも便利だが、さらに「Spire Studio」は、iPhone / iPadの専用アプリ「Spire Music Recorder」を使用することで、レコーディングやミックスダウン、編集、そしてSNS等へのシェア、パソコンとの共有まで一連の作業ができる。
ちょっと前までは、「パソコンさえあれば、自宅がレコーディング・スタジオに」と言われていた。が、今やそのレコーディング・スタジオを、自宅の外へ気軽に持ち出すことすら可能となったのだ。楽曲制作やレコーディングの環境が大きく変われば、音楽そのものにも影響を与えるかもしれない。これらのギアを使った新しい音楽が生まれる日も近い?
■黒田隆憲
ライター、カメラマン、DJ。90年代後半にロックバンドCOKEBERRYでメジャー・デビュー。山下達郎の『サンデー・ソングブック』で紹介され話題に。ライターとしては、スタジオワークの経験を活かし、楽器や機材に精通した文章に定評がある。2013年には、世界で唯一の「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン公認カメラマン」として世界各地で撮影をおこなった。主な共著に『シューゲイザー・ディスクガイド』『ビートルズの遺伝子ディスクガイド』、著著に『プライベート・スタジオ作曲術』『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』『メロディがひらめくとき』など。