20年を経てリメイクされる『バイオハザード2』 オリジナル版が持つ“本質的な恐怖”を振り返る

リメイク決定の『バイオ2』、その魅力とは

 2018年6月12日からアメリカで開催された「Erectronic Entertainment Expo」(E3)で、カプコンより『BIOHAZARD RE:2』の発売(2019年1月25日)が発表された。

 『BIOHAZARD』(バイオハザード)はPlayStation(PS)の時代から、実に20年を超えて現在まで続く人気シリーズ。そして『バイオハザード2』はシリーズファンからの人気も高く、近年のシリーズ作品にも登場する「レオン・S・ケネディ」が初めて主人公として登場する作品でもある。

 今回発売が発表された『バイオハザード RE:2』は、PS4/Xbox One/PCといった現行機種向けに展開されるリメイク版だ。『バイオハザード7 レジデント イービルl』の開発エンジンを用いた美麗なグラフィックや、オリジナル版の見下ろし視点から『バイオハザード4』のようなビハインドビューへの変更などが予定されている。各方面で話題を呼んだこの発表を受けて、本記事では『バイオハザード2』がヒットした理由とゲーム性、人を惹きつける魅力を再確認してみたいと思う。

 1996年に誕生した初代『バイオハザード』は、「サバイバルホラー」というジャンルを確立して世に広めた金字塔的作品だ。当時の最新ハードであったPSの3D表現と環境音を主体に捉え、いつアクシデントに見舞われるか分からない緊張感、そしてゾンビに襲われ生死の危険を彷徨う恐怖感を多くの人々に与えた。しかし、複雑な謎解きとシビアな戦闘システムも相まって難易度が高かったのも事実。アクション操作が苦手なユーザーには取っ付きにくいゲームでもあった。

 それから約2年後、物語の舞台を森の洋館から警察署に移し、様々な新機能を追加して発売されたのが『バイオハザード2』である。前作『バイオハザード』は1年間で売り上げ100万本を達成したこともあり、当時のユーザーは次回作への期待で胸を膨らませていた。そして実際に1998年にリリースされた『バイオハザード2』は、その期待を一身に背負うプレッシャーに負けず、最終的に全世界で売上496万本(2013年時点)を記録。結果として、現在まで続く『バイオハザード』シリーズの基盤とコンテンツ価値の確立に成功した。

 『バイオハザード』シリーズが持つ本質的なホラーゲームとしての魅力は、第1作目の時点である程度完成していたように思える。『バイオハザード2』がヒットした理由には当然、前作で得たユーザーからの高評価も含まれるが、中でも要因として大きいのは「ザッピングシステム」の導入だろう。

 ザッピングとは、テレビ番組のチャンネルを切り替えて視聴する様子をさす造語だ。この言葉通りに、『バイオハザード2』ではレオンともう一人の主人公「クレア・レッドフィールド」でそれぞれ表と裏シナリオが用意されている。そしてゲーム中でレオンとクレアが取った何気ない行動ーー例えば隠された武器を発見したり、警察署内の仕掛けを作動させたりということが、もう一方のシナリオ進行にもしっかり影響する。この仕組みからプレイヤーは必然的に、表シナリオと裏シナリオの相関関係に頭を働かせることになり、「ゾンビと遭遇しても弾を節約するために逃げる」「強力な武器はあえて拾わずに裏シナリオ攻略に向けて置いておく」といった戦略に多様性をもたらした。

 また『バイオハザード2』の特徴としては、新規ユーザーの導入を助けるという意味で、『バイオハザード』のネックでもあった難易度の高さを和らげた点も見逃せない。主人公キャラのステータスで格差がなくなったり、理不尽過ぎる謎解きや敵の強さが見直されたことで、前作のプレイ経験者を含め、ナンバリングタイトルの課題でもある新たなユーザー層の獲得に成功した。

 加えて、滑りと生々しさを感じさせる不気味な外見の「リッカー」は、多くのユーザーにトラウマ級のインパクトを与えたことも大きい。リッカー初登場時に流れるCGムービーは、『バイオハザード2』の世界観を語る上でも一見の価値ありだ。

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