世界中の都市に紐づいた環境音楽しめる「Cities and Memory」 マッピングとオープン化がポイントか

 これらのサイトと「Cities and Memory」の違いは2点だ。

 一つ目は“Googleマップの利用”。現在、「Cities and Memory」には、75カ国以上約2000の環境音がアップされている。大量のデータは、煩雑なサイトになりやすい原因のひとつだがそれをマッピングによって、うまく解決している印象だ。サイトの訪問者が迷子になることもなく、とても親切なUIだ。今後、マッピングされた都市が増えたとしても、データの整理には問題が発生しないだろう。

 二つ目は“プロジェクトのオープン化”。基本的に、「Cities and Memory」には誰でも環境音を投稿可能だ。高価なマイクや録音機材をもっていなくても、スマートフォンで録音した音で問題ない。現在までの参加者は500人を超えている。これまでにあった環境音を提供するサービスは、サイトにアップされている音を聴くことだけしかできず、利用者からすれば受け身であった。自分が録音した環境音で、プロジェクトに参加できるのは魅力的だ。

 これまでは「作業用」や「勉強用」といった、リラックス効果や集中力を高めるために環境音が聴けるサイトやアプリを利用するユーザーが多かった。ユーザーも参加可能な「Cities and Memory」は、既存のサービスを新たな段階に押し上げたように感じる。「Cities and Memory」が、今よりも全世界の地域に広がっていけば、さらに面白いプロジェクトになるはずだ。

■吉川敦
フリーライター。音楽と言葉が大好物。憧れの人物はアインシュタインとエルキュール・ポアロとアンディ・ウォーホル。

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