「pixivFANBOX」、全クリエイターに開放! サービスの特徴と今後の課題に迫る

 「pixivFANBOX」がクリエイターにとって、今後魅力ある場所になるかどうかは運営側とユーザー(クリエイター、ファン)が鍵を握っている。現在考えられる今後の課題は下記2点だ。

 一つは、クリエイターの収益。「pixivFANBOX」に限ったことではないが、SNSをメインにしたサービスは、インフルエンス(影響力)主体の市場へと流れていくのが現状である。「pixivFANBOX」によって利益を得るのは、すでに一定のファンをもった、一部のクリエイターに限定されるだろう。芸術へのパトロン文化が根付いていない日本では、金銭による報酬以外のメリットを、クリエイターとファンの双方に提供していく必要があるように感じられる。

 もう一点は著作権だ。「pixivFANBOX」の規約には、現時点では著作権違反に関する具体的な事例が明記されていない。運営側が利用者に対して、様々なコンテンツの著作権を周知させていくのは当然として、クリエイターとファンにも最低限のモラルが必要だ。金銭のやりとりが発生する以上、無法地帯に近い状態になれば、サービスの発展は望めない。

 pixivFANBOX事務局が、今回発表したお知らせには、このような文章が記されていた。

「今後は全てのクリエイターのみなさまと『ファンに支援されることで自分の創りたいものを創る、創作活動を続けられる』そんな世界を目指していきたいと考えています」

 そのためには、企業とユーザーが同じ未来を向いていくことが重要だ。ファンが、気軽に安心して、クリエイターをサポートできるシステムが理想だろう。「pixivFANBOX」や、それに追従するサービスが今後、どのような展開をしていくのか注目したい。

■吉川敦
フリーライター。音楽と言葉が大好物。憧れの人物はアインシュタインとエルキュール・ポアロとアンディ・ウォーホル。

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