SAMURIZE from EXILE TRIBEの生みの親・藤本博士が語る、ウェアラブル × ダンスの可能性

SAMURIZEはいかにして誕生したのか?

SAMURIZEの進化

ーー2013年から現在にかけて、SAMURIZEは具体的にどのような進化を遂げましたか。

藤本:開発当初は、スマホほどの大きさのデバイスを6つ使って全身800個のLEDを制御していたのが、今ではチューイングガムほどの大きさのデバイス1つで2000個ものLEDを制御できるようになりました。先日の『ミュージックステーション』には最新のSAMURIZEも登場していて、センターでダンスをしていたメンバーにはパネル状になった5300個のLEDが付いています。それによって、テレビのようなLEDディスプレイを着てダンスをしているようなパフォーマンスも可能になりました。しかし、デバイス全体の重さは変わっていません。気付かれていないかもしれませんが、実はすでに6回くらい制御デバイスの設計を変更して作り直しています。

 

 一度に制御できる人数も大幅に増えています。最初は10人を光らせるので精一杯だったのが、2016年の『HiGH & LOW THE LIVE』では、100人以上のダンサーを制御しました。HIROさんから、「100人以上の人数でSAMURIZEのパフォーマンスができたら面白いね」と言われて、それに対応できるように改良を重ねていった結果です。今では2週間くらい前にダンスの振り付けをもらえれば、そのフォーメーションに合わせてプログラミングをしていって、その規模ならではのダイナミックな光の演出が可能になっています。すべてのSAMURIZEを番号化して、フォーメーションを数値化することで、早く正確にプログラミングできるようになりました。現状のシステムだと300人くらいまでなら簡単に対応できます。

 ほかにも、今では稼働しているSAMURIZEがそれぞれどんな光り方をしているか、3DCGのモデルでリアルタイムに確認することもできるし、それによって、たとえばカメラ視点に合わせて総計50万粒のLEDがどんな風に光れば効果的なのかをすぐに把握することもできます。公演を重ねることで、トラブル防止のための機能も充実して、ボタン一つですべてのSAMURIZEが正しい衣装を着ているかを確かめることもできるし、電池が消耗しているときはアラートが鳴るようにもしました。


ーーまさにテクノロジーとエンタテインメントの融合を、最前線で更新し続けている印象です。

藤本:ソフトウェアもハードウェアも、常に更新しています。これだけ大量のLEDを安定して動かせるシステムは、ほかにはないと思います。ハードウェア開発からソフトウェアそして演出までを一貫して手がけているからできることで、たとえば同じようなハードウェアは売られているものではないし、あったとしてもSAMURIZEのように動かすことはできないでしょう。ライブの演出が直前で変更になって、このシーンでは30秒だけ青く光らせたいとなったとしても、我々ならすぐに対応できます。今のところ、要請されたことはありませんが、直前でBPMが変更になっても大丈夫なシステムも作っています。こうしたノウハウは、ライブ演出チームとの協力を重ねて培ってきたものです。

 どんなに無線状況が悪くても起動するのもポイントで、一度音楽と同期してしまえば、ドームで100メートル離れたとしても、金属の壁に囲まれたような電波が届かない場所に行ったとしても、ずっと同期し続けられる仕組みになっています。だから想定外の会場でもちゃんと動かせるんです。

 一貫制作体制によって作られた堅牢なシステムが我々の強みであり、SAMURIZEをオンリーワンのパフォーマンス集団にしています。だからこそ、世界最大級のEDMフェス『URTLA MUSIC FESTIVAL MIAMI 2015』に出演したり、『Bリーグ開幕戦』のオープニングアクトを務めたりと、EXILE TRIBEのライブ以外にも活動の場を広げられているのだと思います。

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