『俺たちの箱根駅伝』第5話で描かれた重要なテーマ “甲斐”山下智久の過去が明らかに

箱根駅伝で3位以上を目指すという目標を掲げた甲斐(山下智久)に反発するように、コーチの北野(駿河太郎)が辞任。ようやくまとまりかけていた学生連合チームの選手たちのあいだに動揺が走り、さらに追い打ちをかけるようにSNSやネットニュースで甲斐が炎上。挙句、それは学生連合チームにも飛び火することとなる。前回、平川(山本耕史)がインタビューで学生連合の廃止を提言したことに続いて、今度は世論からのバッシング。箱根駅伝まで1ヶ月余りというタイミングになっても、選手たちに波乱は尽きない。

11月7日に放送された『俺たちの箱根駅伝』(日本テレビ系)第5話は、こうした波乱のなかで、とても重要なテーマを思い出させてくれる。それは「チームメイトとの信頼関係」。各区間を任される10人のランナーとチームメイトたちで作り上げる箱根駅伝はもちろんのこと、チームスポーツにおいて欠かせないものであり、また箱根駅伝の中継を任される大日テレビの“チーム”にも同じことが言えるだろう。何につけても“個人”ではなく“組織”である以上は、そこに“信頼”がなくては成立し得ないのである。

ではその信頼とは、いったいどんなものであり、どのように作り上げられていくものなのか。それは甲斐というキャラクターが示してくれるはずだ。今回徳重(大泉洋)は、ネット上で甲斐が炎上していることを受け、なぜ彼が監督に指名されたのかを知るために前任の諸矢(寺尾聰)のもとを訪ねる。学生たちを不安にさせまいとケアホスピスに入っていることを内緒にしていた諸矢は、こう答える。「明誠を新たな次元にまで引っ張り上げるなら、それは甲斐真人だ。奴以外考えられん」。そして「箱根の歴史を変えてくれる」と、甲斐への強い信頼を口にする。

その後、関係者への聞き込みを続ける徳重を通して明らかになる甲斐の過去。商社マンとして世界を渡り歩くなかで、上司を信じてやった仕事が大きな失敗につながり、その上司にハシゴを外されてしまったこと。「本当に信じられるもののために働きたい」と考えた甲斐は、会社の社会貢献制度を使って無報酬で明誠の監督を引き受けたこと。徳重から「なぜ監督を引き受けたのか」と訊ねられた際にははぐらかしていたが、諸矢から同じことを訊かれると、甲斐は「諸矢監督からの教え(=チームメイトへの信頼)」が理由の一つであると答えるのだ。

21年前に箱根を走り、区間賞を獲った際のインタビュー(それを担当した徳重は、言葉を指摘されたことでトラウマに感じていたが)で甲斐は、「信じてよかった」と答えていた。いわば甲斐にとって、箱根路はチームメイトを信じ、チームメイトに信じてもらい、そして結果を出すことができた、信頼の先に待つ場所。上司に裏切られたことで揺らいだ“信頼”そのものに対する信頼を、彼自身がひとつのチームを率いることで取り返そうとしているのだろう。だとすると、徳重との対面シーンでの甲斐の返答は単なるはぐらかしではない。信頼を作り上げるのは、望んだ結果を成し遂げることに他ならないということだ。

さて、大日テレビパートでもまた“信頼”をめぐるやり取りが展開する。給水ポイントでどのように選手たちの声を拾うかという、戸山(山田杏奈)の提案から始まる試行錯誤。本番を前に挑戦を重ね、ひとつの結果を見出す彼らのチームとしての信頼と結束が高まる一方、またもや大日テレビ内の体制をめぐる波乱の片鱗が見え隠れする。それでも徳重は、「信じるものがあればそれでいい。俺たちの箱根駅伝をやろう」と前を向く。ドラマはちょうど折り返し地点、すなわち箱根でいえば往路のフィニッシュ地点。ここでタイトル回収がされたとなれば、復路はそれに向けて邁進していくのみである。
■放送情報
『俺たちの箱根駅伝』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:大泉洋、伊藤沙莉、小林虎之介、奥智哉、山田杏奈、市川猿弥、小日向文世、生瀬勝久、竹中直人、寺尾聰、浅香航大、望月歩、河内大和、水沢林太郎、菅生新樹、荒木飛羽、庄司浩平、林裕太、山本耕史、駿河太郎、金田明夫、高橋克典、山下智久
原作:池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』(文藝春秋)
脚本:鈴木すみれ、松田裕子
演出:猪股隆一、山田信義 ほか
主題歌:桑田佳祐
プロデューサー:小田玲奈、藤澤季世子、大井章生、鈴木香織、森雅弘
協力:一般社団法人 関東学生陸上競技連盟
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/orehako/
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