『俺たちの箱根駅伝』は“テレビ局の裏側”に切り込む? 大泉洋ら豪華キャストの熱量に期待

『俺たちの箱根駅伝』ではもうひとつ、駅伝に臨む選手たちの物語も太い柱になっている。スポーツものによくあるように、弱小校が天才選手や名監督のもとで強くなり、優勝を果たすといった超ドラマチックな物語と重なるところがあるが、問題は弱小校ではなく、関東学生連合チームという箱根駅伝の陰のような側面にスポットを当てたものになっていることだ。
関東学連チームとは、本戦に出られなかった大学から選手を集めて結成するチームのこと。いわば寄せ集めチームで、実際の箱根駅伝でことさらに持ち上げられるような立場にはない。むしろ疎んじられている雰囲気すらあって、廃止の話も何度か持ち上がっている。かつては公式に残されていた記録も、現在は参考に止まっている。たとえ区間賞相当のレースをしても、それこそチームがトップでゴールしても、栄誉すら与えられないということだ。

そんな関東学生連合チームに参加した小林虎之介演じる青葉隼人ら選手たちと、商社を休職して母校の大学の監督になり、学生連合チームの監督も務めることになった山下智久演じる甲斐真人の物語が、ドラマでは徳重たちテレビ局チームの話と平行して描かれていくことになる。これもまた、日本テレビにとって挑戦だっただろう。
徳重や、ドラマでは伊藤沙莉が演じるセンターディレクター・宮本菜月たちが小説の中で葛藤していたように、学生連合チームを中継でことさらに持ち上げることは、どちらかといえば御法度になっている。本戦で走ることが栄誉の箱根駅伝に、横から参加している者たちがフィーチャーされてはたまらないという、陸上関係者の意向もあるのだろう。

そうしたテレビ局の葛藤と、同様に母校のためにも記録のためにもならない関東学生連合チームで走る選手たちの、何のために走るのかといった迷いをドラマで描くからには、来る2027年の箱根駅伝で関東学生連合チームをどのように扱うのかにも注目せざるを得ない。そのメンバーとして集まる、アスリート役だけにスタイルの良い男性俳優たちの悩み苦しみながら乗り越えていく姿にも、声援を送りたくなるだろう。激しい視線の中で監督に就き、チームをまとめあげていく甲斐役の山下の凜とした姿からは、誰も目を離せなくなるはずだ。
役者で言うなら、関東学生連合チームを目の敵にしている東西大学の監督を、癖のある役を演じさせれば最高の山本耕史が担当しているところも気になる。山下との対決シーンがあれば相当な見どころになるだろう。テレビ局側ではもちろん、徳重役の大泉がコメディとは正反対の熱いドラマにどのように向き合うのかがポイントだが、徳重を支えるセンターディレクターの宮本菜月もまっすぐな性格に設定されている。演じる伊藤が、『虎に翼』(NHK総合)でのどことなくとぼけた雰囲気をがらりと変えてどう挑むかが楽しみだ。

あとはやはり、箱根駅伝そのもののドラマでの再現をどこまで作り込んでくるかだ。それこそ日本テレビのドラマ班の腕の見せ所だろう。中継を上回るような感動を描くという意気込みで臨んだドラマ班に刺激され、スポーツ班が今まで以上の情熱を中継に注ぎ込んで箱根駅伝が盛り上がっていく。そんな好循環があればまだまだ箱根駅伝は面白いものになるだろう。
■放送情報
『俺たちの箱根駅伝』
日本テレビ系にて、10月10日(土)スタート 毎週土曜21:00~放送
※初回40分拡大
出演:大泉洋、伊藤沙莉、小林虎之介、奥智哉、山田杏奈、市川猿弥、小日向文世、生瀬勝久、竹中直人、寺尾聰、浅香航大、望月歩、河内大和、水沢林太郎、菅生新樹、荒木飛羽、庄司浩平、林裕太、山本耕史、駿河太郎、金田明夫、高橋克典、山下智久
原作:池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』(文藝春秋)
脚本:鈴木すみれ、松田裕子
演出:猪股隆一、山田信義 ほか
主題歌:桑田佳祐
プロデューサー:小田玲奈、藤澤季世子、大井章生、鈴木香織、森雅弘
協力:一般社団法人 関東学生陸上競技連盟
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/orehako/
公式X(旧Twitter):https://x.com/orehako_ntv




















