興収で読む北米映画トレンド

ワーナーが葬りかけた映画『Coyote vs. Acme』が北米No.2 公開求める嘆願が観客を動かす

 今週、思わぬ苦戦を強いられたのが、第5位に初登場した『ラスト・サバイバー』だ。巨匠リドリー・スコット監督の最新作だが、北米3330館で週末興収800万ドル。海外49市場を合わせても世界初動1930万ドルという厳しい滑り出しとなった。

『ラスト・サバイバー』©2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 謎のパンデミックにより人類の大半が死滅した世界で、パイロットのヒッグが、無線から聞こえた謎の声を頼りに旅立つサバイバルアクション。製作費は7000万~8000万ドル超といわれ、製作・公開規模は『Coyote vs. Acme』とほぼ同じだが、北米初動はほぼ半分。劇場興行だけでのコスト回収はほぼ不可能だろう。

 主演は今をときめくジェイコブ・エロルディだが、それでも若年層を動かすことができず、観客層は35歳以上が約半数を占めた。男女比も含めると25歳以上男性が45%、25歳以上女性が39%と、明確に大人向けに偏った。25歳未満の女性はわずか6%にとどまっている。

 Rotten Tomatoesは批評家40%・観客スコア71%、CinemaScoreも「C+」と評価も低調。SNSでは『THE LAST OF US』など既存のディストピア作品との既視感や、予告編で内容を見せすぎていることへの指摘もあり、挽回のハードルは高い。

 今年、エロルディとマーゴット・ロビーが共演した『嵐が丘』(2026年)は3280万ドルの初動を記録したため、この不振には出演者以外の要因がある。本国では、公開時期が夏の終わりとなったことや、映画祭での先行上映がなかったこと、派手なアクション大作ではなく静かな作風であることが挙げられている。

 週末ランキング全体では、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が5週連続No.1。北米累計は8億9150万ドルで、歴代1位『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)の9億3660万ドルまで、わずか約4500万ドルの差となった。世界興収は23億3200万ドルで、まもなく『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)を抜いて歴代3位となる。

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』©︎2026 CPII. All Rights Reserved. ©︎ & TM 2026 MARVEL

 第3位『オデュッセイア』は、公開7週目にして週末興収1430万ドル(前週比27.4%減)、北米累計5億6382万ドル。世界興収は15億5000万ドルに到達した。驚くべきことに、世界全体の週末興収が6290万ドルで、5週目『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の6620万ドルとほぼ横並び。ユニバーサル・ピクチャーズは2026年の海外興収30億ドルを突破した最初のスタジオとなり、世界興収40億ドルに今年最速で到達した。

『オデュッセイア』photo by Melinda Sue Gordon ©︎Universal Studios. All Rights Reserved.

 公開2週目の『インシディアス』シリーズ最新作『Insidious: Out of the Further(原題)』は、北米興収1010万ドルを稼いで第4位にランクイン。前週比59.8%減と落ち込んだが、北米累計は4363万ドル、世界興収は1億1020万ドル。製作費1800万ドルの6倍以上という成功を収めている。

 第6位にはR指定ホラーコメディ『Buddy(原題)』が初登場。陽気なキャラクターが登場するテレビ番組に閉じ込められた子どもたちが、恐怖の主人公・バディから命がけで逃げ出すストーリーで、Rotten Tomatoesでは批評家88%・観客81%と好評だ。観客の4割以上を18~24歳が占め、大作ラッシュのなかで若い観客をつかんだ。

 2026年の北米サマーシーズンは、累計興収44億4400万ドルとなる見込み。前年から25.5%増というめざましい回復を見せ、2013年、2016年、2015年に次ぐ歴代第4位の成績となった。

北米映画興行ランキング(8月28日~8月30日)

1.『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(→前週1位)
2220万ドル(-43.1%)/3678館(-328館)/累計8億9150万ドル/5週/ソニー

2.『Coyote vs. Acme(原題)』(初登場)
1546万ドル/3575館/累計1546万ドル/1週/Ketchup Entertainment

3.『オデュッセイア』(→前週3位)
1430万ドル(-27.4%)/2617館(-474館)/累計5億6382万ドル/7週/ユニバーサル

4.『Insidious: Out of the Further(原題)』(↓前週2位)
1010万ドル(-59.8%)/3303館/累計4363万ドル/2週/ソニー

5.『ラスト・サバイバー』(初登場)
800万ドル/3330館/累計800万ドル/1週/20世紀スタジオ

6.『Buddy(原題)』(初登場)
536万ドル/1258館/累計536万ドル/1週/Roadside Attractions

7.『オークストリートの異変』(↓前週5位)
495万ドル(-43.4%)/2923館(-555館)/累計4603万ドル/3週/ワーナー

8.『パウ・パトロール ザ・ダイノ・ムービー』(↓前週4位)
487万ドル(-46.8%)/3110館(-499館)/累計4331万ドル/3週/パラマウント

9.『Mutiny(原題)』(↓前週6位)
275万ドル(-64.3%)/2703館/累計1322万ドル/2週/ライオンズゲート

10.『Tony(原題)』(↓前週7位)
222万ドル(-55.2%)/1907館(+255館)/累計1105万ドル/4週/A24

(※Box Office Mojo調べ。データは2026年8月31日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W35/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/coyote-vs-acme-box-office-spider-man-titanic-dog-stars-1236685104/
https://variety.com/2026/film/box-office/box-office-the-dog-stars-bombs-spider-man-brand-new-day-1236846879/
https://deadline.com/2026/08/box-office-coyote-vs-acme-dog-stars-spider-man-1237061934/
https://deadline.com/2026/08/box-office-global-spider-man-odyssey-dog-stars-bombs-universal-1237062804/
https://www.newyorker.com/magazine/1990/02/26/coyote-v-acme
https://apnews.com/article/f3ce1106f191a8ef2cc6e26bf8b73fe9

関連記事