吉永小百合、125本目の映画で浅田次郎作品に出演 前田哲監督『母の待つ里』2027年秋公開

 吉永小百合主演で浅田次郎の長編小説『母の待つ里』が映画化されることが決定。監督は前田哲、脚本は小山薫堂が務め、2027年秋に劇場公開される。

 本作は、浅田が“現代の日本”を舞台に据えた同名長編小説を映画化する人間ドラマ。原作は2022年に発刊され、現在までに26万部を突破している。吉永にとっては映画出演125本目の作品であり、浅田作品への出演は初となる。

 主人公は、人生に疲れた3人の男女。大企業の社長として孤独を抱える松永徹、定年と同時に妻から離婚された室田精一、親を看取ったばかりのベテラン医師・古賀夏生。3人が選んだのは、“母”の待つふるさとへの里帰りだった。囲炉裏端に並ぶ手料理や昔話、“母”と過ごす時間が3人を少しずつ変えていく。

 主演の吉永は、1962年『キューポラのある街』で史上最年少のブルーリボン賞主演女優賞を受賞。日本アカデミー賞では『おはん』『つる-鶴』『華の乱』『長崎ぶらぶら節』『北の零年』で史上最多となる最優秀主演女優賞4回受賞を果たしている。近年も『こんにちは、母さん』でブルーリボン賞主演女優賞に輝いた。

 原作の浅田は、『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学賞新人賞、『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞、『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞などを受賞。2015年に紫綬褒章を、2019年に菊池寛賞を受賞している。これまで『地下鉄(メトロ)に乗って』『鉄道員(ぽっぽや)』『壬生義士伝』など数多くの作品が映画化されてきた。

 脚本を担当する小山は、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』の脚本家として知られる。嵐の楽曲「ふるさと」の作詞や、熊本県のキャラクター「くまモン」のプロデュースなど、ジャンルを超えた企画を手がけてきた。映画の脚本を手がけるのは、『湯道』以来、3年ぶりとなる。

 監督の前田は、伊丹十三、滝田洋二郎、崔洋一、阪本順治、周防正行らの作品に携わり、1998年にオムニバス映画『ポッキー坂恋物語・かわいいひと』エピソード3で劇場映画監督デビュー。以降、『ブタがいた教室』、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』、『老後の資金がありません!』、『九十歳。何がめでたい』などを手がけてきた。吉永とは今回が初タッグとなる。

 撮影は岩手県遠野を中心に5月からスタートし、春夏編は7月にクランクアップ。今後、秋、冬の期間も撮影し、四季の移ろいを通して日本の原風景を切り取り、登場人物たちの心情や人間関係の変化を映し出す。2026年1月に撮了予定となっている。

 吉永は「15才で映画俳優になり、好運に恵まれて今日まで歩いてきました。『母の待つ里』は、私にとって125本目の映画です。浅田先生原作の映画に初めて出演させて頂くことになり、嬉しくて舞い上がっています」と本作出演の心境を語っている。

コメント

吉永小百合(主演)

15才で映画俳優になり、好運に恵まれて今日まで歩いて来ました。『母の待つ里』は、私にとって125本目の映画です。浅田先生原作の映画に初めて出演させて頂くことになり、嬉しくて舞い上がっています。
そして、前田監督の若々しいエネルギーをしっかり受け止め、「心の母」をひたむきに演じたいと、祈る様な思いです。5月にクランク・インして、これから秋編、厳しい寒さの中での冬編の撮影に入って行きますが、スタッフ、キャストの皆様と共に、来年秋の公開に向けて力を尽くします。

浅田次郎(原作)

©新潮社

思い起こせば高倉健さんに『鉄道員』の佐藤乙松を演じていただいてから、四半世紀あまりの歳月が流れました。
そして今、吉永小百合さんに『母の待つ里』のちよを演じていただくのは、昭和の時代に生まれ育ったひとりの小説家として望外の幸せを感じます。私たちは人間らしい自然な営みを忘れて、便利さと快楽の追求でしかない不自然の中で生きています。ちよさんはそんな私たちにとって、虚も実もない、あらたかな自然そのものです。

小山薫堂(脚本)

「ふるさと」への想いをクリエイティブの根幹にしてきた田舎者の自分が、「ふるさとを持たない人たちの心を描く」……。
これは私にとって一つの大きな挑戦でした。しかも原作は、敬愛する浅田次郎先生。そして主演はまさかの吉永小百合さん! この作品はいわば、都会の暮らしに疲れた大人たちを癒す現代のおとぎ話ですが、この夢のような座組での映画に携わること自体が、自分にとってのいちばんのおとぎ話でもあります。

前田哲(監督)

今回映画作りをご一緒してつくづく感じたことは、吉永小百合さんは心の中にいつも他者へのギフトを持ってられる方であるということです。それは、映画『母の待つ里』の主人公ちよが、悲しみも苦しみも寂しさも包むように全てを受け入れて、命ある限り懸命に「母」として生きていく姿そのものであります。損得もなく見返りも求めず、切実な思いに駆られて行動する姿そのものが希望であり、暗闇にさす光だと思っています。浅田次郎先生の原作にあるスピリットをしっかりと引き継ぎつつ、多くの方達にギフトを届けることができるよう丁寧に制作しております。映画の完成までしばしお待ちください。

岡田有正(企画・プロデュース)

圧倒的な美しさと気品で時代を彩り、日本映画界の光であり続ける吉永小百合さんを主演にお迎えし、浅田次郎先生の『母の待つ里』を映画化できることを大変光栄に思います。不寛容さと孤独感が漂う現代において、本作は傷ついた人々に寄り添う母を通じて描かれる「誰もが思い当たる節のある現代の物語」です。どれほど時代が変化しようとも、決して失われてはならない人と人との繋がり、移ろいゆく日本の美しい四季や自然とともに、かけがえのない暮らしを時間をかけて丁寧に描き出し、映画館のスクリーンを通じて、「こころのふるさと」を世界の皆様へお届けいたします。

■公開情報
『母の待つ里』
2027年秋全国公開
出演:吉永小百合
原作:浅田次郎『母の待つ里』(新潮文庫刊)
監督:前田哲
脚本:小山薫堂
企画・プロデュース:岡田有正
制作:セデックインターナショナル/ドラゴンフライエンタテインメント
製作:2027映画「母の待つ里」製作委員会
配給:東宝
公式サイト:https://hahanomatsusato.toho-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/hahanomatsusato

関連記事