小雪&松山ケンイチ、夫婦で異なる魅力を発揮 金曜夜に映し出す“孤独”と“救い”
夫婦として知られる松山ケンイチと小雪。二人は東京と地方を行き来する二拠点生活を送りながら、農業にも取り組んでいることでも広く知られている。
夫婦で俳優といえば、反町隆史・松嶋菜々子夫妻を思い浮かべる人も多いだろう。彼らは現在、『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)で夫婦役として共演している。二人はすらりと背が高く、圧倒的なスター性と華があり、見る者を強く惹きつける輝きを放つ。一方で、松山ケンイチと小雪がまとう空気は、ふっと画面の向こうへ消えてしまいそうな儚さや、影を秘めている。
そんな二人が今クールの金曜日、それぞれ別のドラマで異なる魅力を発揮していることが、今話題となっている。松山が『Tシャツが乾くまで』(TBS系)で演じるのは、失踪癖を抱える男・充。一方、小雪は『リーガルビート –逆転の法廷–』(テレ東系/以下、『リーガルビート』)で、チームを率いながらも大きな秘密を抱えた所長・雪村を演じている。
松山は前クールの『時すでにおスシ!?』(TBS系)で、堅物な鮨職人でありアカデミー講師でもある大江戸海弥を好演。小雪も『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)で、主人公・星野茉莉(黒木華)の継母・星野桃花を演じていた。夫婦そろって2期連続でGP帯ドラマに出演している。
松山が『Tシャツが乾くまで』で演じる充は、つかみどころのない人物だ。ふわりとした雰囲気をまといながら、ある日突然姿を消してしまう脆さを抱えている。彼は、妻・咲子(蒼井優)がいるにもかかわらず、コインランドリーで出会ったあずさ(夏帆)には本音を打ち明ける。その関係性はSNSでも「心の不倫ではないか」と物議を醸した。咲子の立場で見れば、その行動が身勝手に映るのも無理はない。
一方で充は、ふとした瞬間、咲子に向ける視線には憂いが宿り、どこか寂しさを滲ませている。その表情は、本当は伝えたい思いがあるのに言葉にできず、胸の奥へ押し込めているようにも見えた。わずかなまなざしの揺らぎの中に、充が抱えてきた孤独や不器用さが、静かに浮かび上がっていく。繊細な表現があるからこそ、視聴者は彼に苛立ちながらも、どこか見放せないのではないか、と感じる。
一方、『リーガルビート』の雪村は、充とは対照的な魅力を放っている。雪村は事務所の所長でありながら、なぜか自ら法廷に立とうとしない。その背景はいまだ多くが語られていない。しかし彼女は、作品全体を支える幹のように、どっしりとした存在感を放っている。時折、弁護士仲間を見る目には力が入るので、何か背景がありそうだ。
雪村のシーンで特に心に残ったのは、第2話で星(稲垣吾郎)が過去の痛みを語るところである。雪村は新米弁護士・泰地(鈴鹿央士)に対し、星がかつて仕事で大きな挫折を経験し、会社を辞めざるを得なくなったこと、そして自分も「もともと独立したかったから」という理由で彼と行動を共にしたことをぽつりと明かした。
泰地を見つめる雪村の視線は穏やかでありながら、その奥には揺るがない強さが感じられた。星の過去を必要以上に語ることも、同情を押しつけることもない。ただ彼の痛みを受け止め、その背中を支え続けてきた人間だからこそ宿る芯の強さが、そこにはあった。
雪村には、姉御肌の頼もしさがありながら、その奥には誰かを包み込む柔らかさもある。雪村が画面にいるだけで、『リーガルビート』が単なる法廷ドラマではなく、人の感情に寄り添う物語として成立しているように感じられた。