興収で読む北米映画トレンド
北米映画の夏興行、2019年超えでコロナ禍を振り切る 『スパイダーマン』などヒット作連発で
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が、8月21日~23日の北米映画週末ランキングで4週連続のNo.1に輝いた。週末3日間の興行収入は3900万ドルで、前週比44.8%減。ファン中心の興行かと思われたが、堅実な推移を続けている。
北米累計興収は8億5490万ドルで、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)を抜いて歴代3位へ浮上。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)の8億5837万ドルを抜くのも時間の問題だ。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)の9億3666万ドルを超えて歴代新記録、さらに史上初の北米10億ドル突破もありうるとみられる。
世界興収は先週の時点で20億ドルを突破していたが、今週は22億1990万ドルに到達。こちらも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を抜いて世界歴代6位となった。北米のほか、フランス・イタリア・韓国・台湾などの世界各国でソニー・ピクチャーズ史上最高記録を樹立している。
アメリカの映画館業界は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』以来の動員だと興奮を隠していない。公開週末には早朝や深夜にも上映を実施したが、それでも完売が続いたため、さらに上映を追加。観客はスパイダーマンのコスプレで映画館を訪れ、活発にコミュニケーションを交わし、限定のポップコーンバケットも相次いで完売した。
この夏、もうひとつの台風の目である『オデュッセイア』の勢いも健在だ。公開6週目にして1950万ドルを稼ぎ、前週比わずか17.4%減。北米累計興収は5億3906万ドルとなった。すでにノーラン作品として世界興収歴代1位、IMAX世界興収歴代1位の座に輝いていたが、いよいよ北米でも『ダークナイト』(2008年)を抜き、ノーラン作品の北米歴代1位となったのだ。
世界累計興収は14億4619万ドルで、『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)を抜いてR指定映画の世界歴代1位。IMAX需要も引き続き大きく、今週末も北米興収の52%にあたる1000万ドルをIMAXが稼いだ。北米のIMAX累計興収は1億8070万ドルで、同じく歴代最高だ。
米Varietyによると、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』と『オデュッセイア』の爆発的ヒットについて、劇場関係者は「近年は新作映画の話が他者に通じないことも多かったが、この2本は話した相手のほとんどがどちらか、あるいは両方を観ていた」と証言。映画がふたたび大勢の観客に共有される文化になりつつあることを実感しているという。
サマーシーズンの北米累計興収は約44億ドル。前年同期比26%増、2019年同期比6%増と、ついに劇場興行がコロナ禍を振り切ったような成果だ。残り15日で3億1180万ドル――これはやや高いハードルだが――を積み上げれば、歴代記録の2013年(47億5500万ドル)を抜いて新記録樹立となる。