『風、薫る』は看護婦視点で戦争をどう描く? “日清戦争”がりんと直美の大きな転換点に

 8月15日、日本は終戦から81年を迎えた。その節目と重なるように、NHK連続テレビ小説『風、薫る』にも戦争の足音が近づいている。第105話は、シマケン(佐野晶哉)が東京を去ってから2年後が舞台に。りん(見上愛)と直美(上坂樹里)は変わらない日々を送っているが、政府は大本営を立ち上げ、朝鮮出兵を決めるなど、世の中は着実に戦争へと向かい始めていた。

 まず「朝ドラ」と「戦争」は切っても切り離せない関係にある。これまでにも数多くの作品で、大切な人を失ったり、夢や仕事を諦めざるを得なくなったりと、戦争によってそれまでの日常や人生を大きく変えられてしまう人々の姿が描かれてきた。

 その一方で、戦争を異なる立場から捉えた作品もある。『あんぱん』(2025年度前期)では、軍隊に入った嵩(北村匠海)らの目を通して、戦地で兵士たちを襲う凄まじい飢えや、敵味方の間に生まれる憎しみの連鎖を描いた。『エール』(2020年度前期)では、戦時歌謡を手がけた裕一(窪田正孝)が、自らの音楽で人々の戦意を煽る一端を担ったことへの罪悪感を抱えるなど、知らず知らずのうちに戦争に加担してしまった者の苦悩にも踏み込んでいる。

 そんな朝ドラが『風、薫る』で新たに描こうとしているのが、看護婦の目から見た戦争だ。しかも、今回描かれるのは、これまで朝ドラでたびたび取り上げられてきた太平洋戦争ではなく、1894年(明治27年)に始まった日清戦争である。朝ドラで描かれてきた戦争の多くが太平洋戦争だったことを考えると、それだけでも珍しい。そもそも、日清戦争の時代を通る朝ドラ自体がごく限られているのだ。

 その数少ない作品でも、日清戦争の描き方は異なる。『あさが来た』(2015年度後期)では、戦争による石炭需要の高まりなど、あさ(波瑠)が営む事業への影響を通して、戦争が社会や経済にもたらした変化を描き出した。『らんまん』(2023年度前期)では、万太郎(神木隆之介)が戦後、学術研究員として日本に割譲された台湾へ。現地の人々との心を繋いでくれたオーギョーチの名付けをめぐり、国家の思惑と一人の研究者としての信念が交錯する様子を描いた。

 では、『風、薫る』は日清戦争をどのように描くのだろうか。その鍵を握るのが、やはり本作の中心にある「看護」だ。実は日清戦争は、日本における看護婦の歴史を考えるうえでも、大きな転換点となった出来事である。

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