チョン・ヘインは“国民の年下彼氏”を卒業した? 『恋は飴模様』で光る成熟したロマンス
チョン・ヘインのロマンスには、一途に誰かを愛することを、とびきり魅力的に見せる力がある。ジュニを見て「こんな年下彼氏がいたら」と多くの視聴者が心を掴まれたのも、単に人懐っこくてかわいいからだけではなかっただろう。何があっても自分の味方でいてくれる。そんな絶対的な安心感まで含めて、「愛されること」への憧れをかき立てる。それが、チョン・ヘインのロマンスが長く支持されてきた理由の一つではないだろうか。
もっとも、チョン・ヘインはこの8年間、“国民の年下彼氏”のイメージに留まっていたわけではない。『D.P. -脱走兵追跡官-』では、軍隊の理不尽さに直面するアン・ジュノを、息苦しいほどの緊張感をまとって演じ、ロマンスとは異なる領域でも存在感を示した。
一方、『となりのMr.パーフェクト』では、チョン・ソミン演じるペ・ソンニュの幼なじみ、チェ・スンヒョを好演。互いの弱さも格好悪さも知る二人が、大人になって改めて相手を選び直すロマンスを通して、“年下彼氏”とは異なる30代男性の魅力を見せた。
本作には、韓国ドラマで幾度となく描かれてきた王道の仕掛けが、これでもかと詰め込まれている。記憶喪失、初恋、同居生活、過去の因縁、出生の秘密。さらには暴力団をめぐるノワール、飴村の人々が繰り広げるコメディ、家族をめぐるヒューマンドラマまである。これだけ並べると、いささか欲張りにも思える。
それでも物語が散らからないのは、どれだけ展開が広がっても、最後にはテハとウンセの恋へと戻ってくるからだ。裏社会では命を懸けた攻防を繰り広げながら、ひとたび二人の恋に焦点が移れば、作品は思い切り“甘く”振り切る。庭一面を薄ピンクのバラで埋め尽くす場面は、その象徴だ。恋愛経験もほとんどなく、ウンセの反応にはいちいち戸惑うテハが、彼女を喜ばせるためならこんな大胆なことまでやってしまう。恋には不器用なのに、愛することには迷いがない。テハという男の魅力が凝縮された場面でもある。
そして、そんなテハを見ていると、冒頭の問いへの答えも見えてくる。チョン・ヘインは、“国民の年下彼氏”を卒業したのだろうか。
おそらく、「卒業」という捉え方そのものが違うのだ。“国民の年下彼氏”という一つの呼び名では、もはや現在のチョン・ヘインを語りきれない。
チョン・ヘインは、嘘をつき通そうとしてはボロが出るテハのぎこちなさも、ウンセのためならなりふり構わなくなる愚直さも、そのアンバランスさまで、テハという人物の魅力にしてしまう。やはり、チョン・ヘインのロマンスは強い。誰かをまっすぐに愛するチョン・ヘインに、私たちは今もときめいてしまうのだ。
■配信情報
『恋は飴模様』
Netflixにて配信中
出演:チョン・ヘイン、ハヨン、ホ・ソンテ
制作:キム・ジャンハン、モ・ジヘ