『風、薫る』新潟編で得たりんと直美の成長 シマケン&小川再登場で波乱の恋模様に?

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』の「新潟編」が第19週「黎明の翼」で幕を閉じた。途中、直美(上坂樹里)の母親・文(内田慈)をめぐる第17週「脈動」が挟まれてはいたが、第16週からおよそ2〜3週にわたって、りん(見上愛)、そして直美の新潟での物語が描かれてきた。かつてコレラによって父・信右衛門(北村一輝)を失い、“間違えた”りんの赤痢患者への看護を通じて、りんの看護婦への復帰に導いていくパートでもある。

 「人の命に触れるのが怖い」と話していたりんは、涙を流すアサ(美山加恋)の手を握り返すことで、人の手の温もり、生きていることの喜びを実感していた。アサの息子・長太郎(渋谷そらじ)が避病院の外から母を呼ぶ姿は、あの日の自分を重ねていたはずだ。りんは直美と看護婦としてもう一度一緒に働きたいという思いを打ち明ける。直美も派出看護がうまくいっておらず、実はりんを誘いに来ていたことを打ち明けられていなかった。そこにふらっとやってきたのが、黒川(平埜生成)だ。

 2人の事情を知った黒川は、りんに1年間だけ黒川病院で働くことを提案する。りんの使命は1年で看護婦を1人でも多く育てること。月12円で住む家も用意され、1年間で100円(現代の価値で約150万円〜200万円)は貯まる。その1年で直美は恵風看護婦会を立て直すことを誓う。

 黒川を演じる平埜生成のSNSによれば、第95話をもってクランクアップだったことが明かされており、黒川病院での看護婦としての姿は描かれない“空白の1年”になりそうだ。帝都医科大学附属病院からの長い付き合いとなったりんと黒川。りんのモテモテっぷりから、黒川もりんに好意を寄せているかのように見えなくもなかったが、あくまで医師として誠実にりんに接し、医療の未来を思う冷静で優しい印象に着地した。

 同時に、りんが舎監として働いていた高越女学校の面々や長太郎の家族ともこれでお別れとなる。笑顔で元気な長太郎一家の姿に心打たれつつ、特筆すべきはりんの生き方に影響を受けた人々がいること。女学校の校長・望月(関智一)は、りんのように人とは違う道を行く人を邪魔せずに、応援できる人になるよう指導することを約束した。女学校の生徒で、赴任した際からりんに興味を示していた久(近藤華)はいつかやりたいこと、夢を見るようになっていた。母のサワ(磯山さやか)もりんの果敢な姿に、周りの目を気にせずに好きなところに出かけたいと考えが変わった。週タイトルにある「黎明の翼」とは、りんと直美の“両翼”を表しているのと同じく、望月や久、そして“空白の1年”でりんが黒川病院で育てていった看護婦へと授けた翼も示しているようにも思える。

 一方で、りんと直美が新潟で出会った内務省衛生局の局員・柳生(中村倫也)、新聞記者でりんにゾッコンの横沢(井上祐貴)は東京に戻ってからも、引き続き登場しそうだ。横沢が書いた「看護婦の働きもありて防疫は成功せりと言うべし」という見出しの新聞記事で、人々の伝染病への考え方は少しづつ変化を見せている。望月が言うように、記事の一つでころっと態度を変えてしまうのは、同じ明治の時代を描いた朝ドラ『ばけばけ』でも描かれていたことでもあり、令和の今の時代にも響くメッセージである。

 東京の新聞社に移る横沢の「東京で待ってますから」という、りんへの強気な態度は相変わらずだ。第20週「家族のかたち」では、いよいよりんも合流しての派出看護が本格始動。横沢というライバルに焦燥感を覚える島田(佐野晶哉)、「好きです」と告白する小川 (甲斐翔真)と、りんと直美の恋愛模様も大きく動いていきそうだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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