興収で読む北米映画トレンド
『ミニオンズ&モンスターズ』北米No.1も“シリーズ疲れ”の懸念 『トイ・ストーリー5』と明暗
『怪盗グルー』『ミニオンズ』シリーズの最新作『ミニオンズ&モンスターズ』が、7月3日~5日の北米映画週末ランキングでNo.1に輝いた。北米4243館で、週末3日間の興行収入は3640万ドル。公開日の水曜日から数えて5日間では6144万ドルだった。
本作は、1920年代のハリウッドを舞台に、登場キャラクターを一新した新機軸。最強最悪のボスを求め、ハリウッドにたどりついたミニオンズは、モンスター映画を作ろうとして本物のモンスターを召喚してしまい……。監督は4度目の登板となるピエール・コフィン(ミニオンズの声優も担当)が務めた。
7月4日はアメリカ独立記念日で、過去作のほとんどがこの週末に公開されている(日本では8月7日公開)。しかしながら本作は、シリーズ累計7作目にして過去最低の滑り出しとなった。
公開後5日間で『ミニオンズ フィーバー』(2022年)は1億2200万ドル、『怪盗グルーのミニオン超変身』(2024年)は1億2000万ドルを記録し、第1作『怪盗グルーの月泥棒』(2010年)も3日間で5600万ドルを稼いだ。今回も5日間で8000万ドル程度の初動成績が見込まれていたが、大きく下回った形だ。
本作は公開前SNSリーチが7億9300万と、『トイ・ストーリー5』を上回って、ファミリー向けアニメーション映画としては屈指の認知度だったこと。実際の観客構成を見ても、女性が全体の半数以上(53%)を占め、年代別では25歳未満が55%、なかでも12歳未満が28%と、家族・子ども連れの観客が足を運んでいたことがうかがえる。
批評家の評価は高く、Rotten Tomatoesではシリーズ史上最高の91%。観客評価はやや賛否両論気味で76%となったが、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」スコアという高い支持を得ている。
では、なぜ本作の滑り出しはやや厳しいものとなったのか?
北米で指摘されているのは「シリーズ疲れ」の可能性だ。『怪盗グルー』『ミニオンズ』は、2010年からの16年間で7本が公開されており、およそ2年に1本のペースで新作が公開されている。本作でストーリー&キャラクターを一新、また製作費も8500万ドルと過去作より抑えているあたり、スタジオ側もシリーズ疲れの傾向を予見していた可能性はありそうだ。
一方、このフランチャイズは海外興収の比率が高いことで知られ、本作も海外71市場の累計興収は9840万ドル。すでに全世界累計興収は1億5980万ドルに到達しており、劇場興行としてのコスト回収はほぼ間違いなく可能だ。グッズ展開も変わらず強いため、本作の初動にかかわらず、『ミニオンズ』ブランドは健在……という言い方もできる。
独立記念日の当日である7月4日が土曜日だったことも、北米の映画興行には不利に働いた。ファミリー層を映画館ではなくレジャーに連れ出したとみられ、週末全体の北米興行収入は約1億2000万ドル規模にとどまり、前年の1億5560万ドルから約20%減。『ミニオンズ&モンスターズ』としては最大のターゲットを奪われたことになる。
もっとも、最大のライバルが同じ映画館の中にいたことも明らかだった。