宇野維正の映画興行分析

『マンダロリアン・アンド・グローグー』30億円突破 日本でだけ異例のロングヒットの理由

 6月最終週の動員ランキングは、『Michael/マイケル』が週末3日間で動員41万4000人、興収6億6700万円をあげて3週連続1位。公開から17日間の累積動員は245万7300人、累積興収は39億4800万円。週末の興収は前週比83%、日曜日に限れば111%という高推移、応援上映も大盛況と、まだまだ勢いを維持している。

 2位に初登場したのはクレイグ・ギレスピー監督、ミリー・オールコック主演の『スーパーガール』。オープニング3日間の動員は11万5000人、興収は1億8800万円。ジェームズ・ガン&ピーター・サフランによる新体制となったDCスタジオによる2作目の劇場作品となるが、昨年7月に公開された前作『スーパーマン』の同期間との興収比で51%と非常に厳しい出足。もっとも、世界同時公開となった本作は北米をはじめどの国や地域でも予測を下回る初動成績となっていて、日本のマーケットもその例外ではなかったに過ぎないとも言える。

 一方、日本でだけ例外的な興行となっているのは、公開6週目ながらまだ6位にランクインしている『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』。公開から38日間の累積動員は181万人、累積興収は30億1700万円。『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品としては、前作にあたる2018年公開の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の最終興収21.4億円を早々に超えていて、2016年公開の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の最終興収46.3億円にどこまで迫れるかといった状況だ。

 世界興収では『ローグ・ワン』から『ハン・ソロ』への過程で大きくダウンしていて、今回の『マンダロリアン・アンド・グローグー』も2週目以降の下落率が高く、結局北米をはじめ多くの国や地域では『ハン・ソロ』以下の成績となる見込みだ。しかし、日本では2週目以降も客足が安定していて、独自のファン層やリピーター層が形成されつつある。

 独自のファン層やリピーター層というのは、これまで『スター・ウォーズ』サーガをそこまで熱心に追ってきてなかった、『マンダロリアン・アンド・グローグー』のファン、あるいはグローグー推しのファンといった、主に女性を中心とする新しい観客層のことだ。その背景の一つには、ディズニープラスの普及率の低い日本においては、『スター・ウォーズ』ファンにとっては数年前からテレビシリーズでお馴染みだったマンダロリアンやグローグーのキャラクターが新鮮なものとして受け止められたというのもあるのだろうが、それだけでは説明がつかないほど自然発生的に人気が広がっていった。

 ポイントとなったのは、そのような盛り上がりが生まれた時に、配給側が臨機応変に来場者プレゼントや応援上映やIMAX再上映などのリピーター向けの展開を用意できていること。興行にとって重要なのは、公開前の「仕掛け」ではなく、ますます公開後の「対応」となってきている。今回の『マンダロリアン・アンド・グローグー』はその成功例となった。

■公開情報
『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』
全国公開中
出演:ペドロ・パスカル、シガニー・ウィーバー
監督:ジョン・ファヴロー
吹き替えキャスト:阪口周平、内田雄馬、山寺宏一、駒塚由衣、稲葉実、上田燿司、乃村健次、梅田貴公美
製作総指揮:デイヴ・フィローニ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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