『田鎖ブラザーズ』は“どうやって終わらせる”のか? 真相に近づくほど見えなくなる出口

「あの事件はまだ終わっていません。俺も同罪です。笹岡さん、どうやって終わらせますか」

 事件の真相にもっとも近いと思われる小池(岸谷五朗)が、かつての相棒である笹岡(柳憂怜)に投げかけた言葉。その問いは、そのまま私たち視聴者の胸にも残った。残り1話で、この物語は本当に終われるのだろうか。『田鎖ブラザーズ』(TBS系)第9話を観たあとに残ったのは、真相が見えた安堵ではなく、むしろ出口の見えなさだった。

 第9話では、田鎖家両親殺害事件について、辛島ふみ(仙道敦子)が知っている事実が明かされた。事件の発端となったのは、ふみの山岳事故による大怪我。海外での高度な治療を必要としたふみのために、貞夫(長江英和)は五十嵐組との銃密造に手を染める。その“家族を守るための罪”に気づいたのが、田鎖朔太郎(和田正人)だった。

 見逃してくれと懇願する貞夫に対し、朔太郎は「真と稔に誇れる父親でいたい」と拒む。立派な人間ではなくても、間違った父親にはなりたくない。その思いは、多くの人が持っている、ごく当たり前の倫理観だろう。だが、このドラマを観ていると、その当たり前の線引きが、大切な人の危機を前にしたとき、想像以上に簡単に壊れてしまうのだと思い知らされる。

 貞夫は妻を、朔太郎は息子たちを、そしてもっちゃん(山中崇)は母を……と、それぞれが家族を大事に思っていた。だからこそ、事件は起きた。大切な人への愛があるからこそ、人は人として生きられる。しかし、その愛を守るために、人は人ならざる行動にも出てしまうのだ。

 平常時にははっきりと「悪」だとわかることが、大切な人を救うためなら「必要な悪」に変わる。やがてそれは、本人の中で「善」にすらすり替わっていく。『田鎖ブラザーズ』が描いているのは、単純な愛の尊さだけではない。愛があるからこそ、人は取り返しのつかない過ちを犯してしまうという、あまりにも苦しい現実だ。

 そして、その連鎖は、真(岡田将生)と稔(染谷将太)にも回ってきた。正しく生きたいと願った両親を思い、追い詰められるかたちで利用されたもっちゃんを思い、ふたりは貞夫に銃口を向ける。両親を奪われた悲しみ、31年分の怒り、そしてようやく見えた真相。それらを理由にして、彼らが引き金を引くことは「悪」か「必要悪」か、それとも「善」か――。

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