上坂樹里はNHKドラマで輝く俳優だ 吉田恵里香作品など『風、薫る』に至るまでの歩み

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』が3カ月目に突入した。生まれも育ちも性格も異なるりん(見上愛)と直美(上坂樹里)は、「鹿鳴館の華」と呼ばれた捨松(多部未華子)に導かれ、日本初のトレインドナースを目指して同じ道を歩んでいる。

 さまざまな境遇の女性たちが、衝突を繰り返しながらも学びを通して“同志”になる構図は、2024年度前期のNHK連続テレビ小説『虎に翼』を思い出す。だが、寅子(伊藤沙莉)たちの学生時代である“女子部編”を約1カ月で描ききった『虎に翼』に対し、『風、薫る』はりんと直美の学びの日々に、さらに多くの時間を費やしている。それは、もともと高い志を抱いていたわけではなく、生きていく術としてトレインドナースへの道を選んだ2人が、看護という職業に少しずつ使命感を見出す過程を丁寧に描きたいからだろう。

 第10週「疾風に勁草を」から、2人の実習先は内科へと移る。現代の研修医でいうところの“スーパーローテーション”を彷彿とさせる仕組みが、すでに当時の看護教育にも取り入れられていたことに驚かされた。初日早々に担ぎ込まれてきたのは、若い男との服毒心中に失敗した女郎のセツ(村上穂乃佳)だ。親しくしていた患者の死をきっかけに看護婦への道を退いたゆき(中井友望)と同じように、セツとの出会いもまた、今後の直美の人生における大きな転機となりそうだ。

 直美といえば、演じる上坂樹里がとにかく魅力的である。『いちばんすきな花』(2023年/フジテレビ系)や『御上先生』(2025年/TBS系)をはじめ、話題作への出演が相次いでいるが、もしかしたら『風、薫る』で初めて彼女の芝居をじっくり見たという視聴者も少なくないのではないだろうか。

 偶然にも、上坂の地上波ドラマ初出演作となったのは、まだ朝ドラ化されていない女性有名人を若手女優が演じるというコンセプトの『ヒロイン誕生!ドラマチックなオンナたち』(2022年/NHK総合)だった。同じくNHK作品で印象深いのが、『虎に翼』の吉田恵里香が手がけた単発ドラマ『生理のおじさんとその娘』(2023年)だ。

 『風、薫る』では牧師役を演じる原田泰造が、生理用品メーカーの広報として働く幸男を演じ、上坂は文字通り“その娘”である花を演じていた。“生理のおじさん”として有名になっていく父に、思春期特有の気恥ずかしさや反発を抱えながらも、父の活動自体は理解している。ふわふわとして掴みどころがないようでいて、社会に対するまなざしは驚くほど地に足がついている。柔らかさと芯の強さが同居する人物像は、いかにも吉田恵里香作品のヒロインらしい。

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