劇場版『名探偵コナン』は“大爆発”から卒業? 『ハイウェイの堕天使』などから考察
1年に1作のペースで公開され、そのほとんどが大ヒットを記録している劇場版『名探偵コナン』。しかしその内容は決してマンネリ化しておらず、近年の作品ではちょっとした方向性の変化が起きているようにも見受けられる。とくに現在公開中の最新作『ハイウェイの堕天使』は、その違いがはっきりと表れている作品だった。
そこで本稿では同シリーズの過去作を振り返りながら、近年の作品でどんな変化が起きているのか考えてみたい。
もともと劇場版『名探偵コナン』は、何よりも“スケールの大きさ”によって観客を圧倒してきた。第1作目の『時計じかけの摩天楼』からして、その方向性は明白だ。同作は謎めいた爆弾魔によって次々と爆破事件が巻き起こされるというストーリーで、最後には巨大な商業施設に魔の手が及ぶのだった。
ド派手な爆発シーンや壮大な舞台装置は、スクリーン映えのする画面を作るためにはうってつけの要素と言えるだろう。2作目以降でもそうした表現は繰り返され、お約束のような表現となっていった。
スケールの大きさでいえば、2019年に公開された第23作『紺青の拳』は1つの到達点だったように思われる。同作の舞台は、シンガポールの街とそこにそびええ立つ「マリーナベイ・サンズ」という巨大ホテル。終盤では街にタンカーが突っ込みかけ、そこから飛び出してきた海賊たちが重火器を撃ちまくる。さらにロケットランチャーが命中したことで、ホテルの屋上部分にあった巨大な豪華客船型の施設が滑り落ち、盛大に水しぶきを上げながら海に落下するのだった。
またこの時期の劇場版『名探偵コナン』は、物語のレベルでもスケールの大きさを突き詰めていた。『ゼロの執行人』では国家規模のテロ事件、『ハロウィンの花嫁』では世界を股にかける殺し屋、そして『黒鉄の魚影』では黒ずくめの組織による世界規模の犯罪が物語の軸となっており、いずれも劇場版ならではの壮大な展開を描き出していた。