『風、薫る』は“看護”にどう向き合うのか 制作統括が明かす配役の裏側と学校編のポイント

生田絵梨花ら同級生キャストの起用理由

ーーりんたちの同級生を演じるキャストの方々の起用理由や、現場での印象を教えてください。

松園:生田絵梨花さんは役者として非常に高い表現力をお持ちです。オーディションでも目を引き、彼女自身の芯の強さやまっすぐさが多江という役にぴったりだと思いました。台本を深く読み込み、現場でも一つ一つの表現を丁寧に確認しながら演じられています。年末年始から1カ月近く、生徒役の7人は朝から晩まで一緒に収録をしていました。前室で包帯を巻く練習をしたり、「昨日のお菓子美味しかったね」と話したり、まさに同級生のような絆が深まっています。生田さんは周囲の状況を気にかけ、ジョークで場を温めるムードメーカーでもありますね。柳田しのぶ役の木越明さんは、フワッとしていて「次は何をするんだろう」と思わせる不思議な魅力があります。東雲ゆき役の中井友望さんはピュアさが役にぴったりで、一生懸命勉強してナイチンゲールへの愛情を培って現場に入ってくれました。最年少のトメ役・原嶋凛さんは、ガッツがありつつ実は一番周りが見えている役どころを的確に演じてくださっています。泉喜代役の菊池亜希子さんはオーディションではなく、キャスティングオファーしました。年長者として、同期のみんなを優しく包んでくれる存在として菊池さんしかいないなと。前面に出るのではなく懐の深さでみんなを受け止め、自身の切なさや苦しさも表現して現場をほっとさせてくれる存在です。

ーー医師でもある多江の父親役の吉岡睦雄さんや、主人公たちに立ちはだかる男性医師キャスト陣についても教えてください。

松園:吉岡さんには、飄々としつつも知性とミステリアスさを併せ持つ、「立ちはだかる父親像」を表現していただきました。また、医師たちからすれば、自分たちが直接雇っていた看病婦の組織に、全く新しい考えを持った女性たちが入ってくるわけですから、当然圧力や衝突が生まれます。プロ同士としてどう向き合い、関係性がどう変わっていくのかを楽しみに見ていただければと思います。

ーー新しい価値観への変容や衝突というのは本作の面白いテーマです。前作『ばけばけ』と同時代になったことで、より「明治」という時代を見直すタイミングなのかなと感じています。

松園:それは狙ったわけではないんです(笑)。前作の『ばけばけ』から『風、薫る』へと同じ時代が続いたということはある段階で分かってはいたんですが。ただ、300年続いた江戸時代から全く新しい国を作っていく中で起きていく、ものすごい勢いでの社会の変化というものが、もしかしたら今、AIの台頭も含めて「ものすごい勢いで社会が変わっていく感覚」とどこか似ていると思っている自分がいるのかもしれません。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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