名台詞に痺れる! 『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』の“ジェットコースター映画”的な魅力
『名探偵コナン』シリーズ屈指の名台詞が持つ、圧倒的な力
その勢いが加速するのは、やはりクライマックスシーン。容疑者であり依頼人の伊東末彦はシリーズ屈指の身勝手なクズで、事件の真相も一度警察が出した答えと相違なく、むしろその答えを受け入れられないがために、探偵を雇って再調査していただけにすぎない。
「そう、この事件には、最初から必要なかったんですよ。名刑事も、名探偵もね」
コナンくんが放つそのセリフは、『探偵たちの鎮魂歌』と題する本作へのメタメッセージになっていて、痺れに痺れる。自分を犯人と言わず、自分の愛する女・麗子が犯人であると指摘されて激昂する依頼人・伊東。そんな彼らの前にナイスタイミングで登場する、麗子。自分を愛する伊東なんてお構いなく、彼の総資産を横取りしにきた彼女は容赦無く銃をぶちかましてくる。しかし、本来なら違う建物にいる標的を一発で仕留められるスナイパーなのに、彼女は8回もムダ撃ちし、伊東は無傷!
このあたりは本当にいろいろなものがガバガバで、演出や伊東というキャラクターへのストレスも溜まるポイントでもある。しかし、コナンくんが主人公の意地を見せ、言いたいことを全部言ってくれるのだ!
まずは麗子を、いつも通りサッカーボールで吹っ飛ばして黙らせる。その後「秘密を共有することで男と女の仲は深くなる」「一番深い秘密は愛する女性と犯罪を共有することなのさ」なんてこの後に及んでまだ意味のわからないことをのたまいながら「僕の完璧な計画が台無しに……!」と悔しがる伊東。そんな様子のおかしい大人を尻目に、コナンは時限爆弾を解除しながら、冷静にこう言う。
「完璧なんて、この世にはねえよ。絶対どこかで歯車が狂ってくる。それを無理やり動かしてなにもかもだめになるか、一度リセットして遅れた分をがんばって取り戻すかはその人次第。あんたは怖かっただけだよ。リセットするのがな」
めっちゃ良いこと言うじゃん……。
キマリにキマっている台詞で頭を殴られると、脳内でドーパミンが大量分泌しはじめ、問題点が多いクライマックスシーンが観ていてだんだん気持ちよくなっていく。そこに畳み掛けるように、ギリギリで爆弾解除! しかも「君は最高の探偵だ」と再びのたまう伊東に対し「あなたは最低の人間ですよ」とバッサリ吐き捨て、マイクドロップして去るコナン! 完全にジェットコースターに乗せられている状態で、気分的には良い映画観た感覚になってしまうのだから、やはり『名探偵コナン』の名台詞が持つ力はすごい。
そして、無事に物語が終わると思いきや、ジェットコースターはまた上がっていく。「ラストに一回転が入るタイプです」と言わんばかりの爆発騒ぎが始まる。
筆者は幼い頃に本作を劇場で観た記憶があるのだが、細かい事件のあれこれは何も覚えていないものの、やはりこのラストで元太がジェットコースターに乗りながら爆発しそうになる展開はハラハラして観ていて楽しかったので、とてもよく覚えていた。
そんなラストの緊迫感あふれるシークエンス、そしてみんなを助けてくれる怪盗キッドの活躍。「キッド様カッコいい!」と「B’zの主題歌カッコいい!」の力技にねじ伏せられて、ようやく下車することができるのだ。しかし不思議と爽快感が残るので、またもう一度乗ってみたくなる。詰まるところ、本作はそういった独自の魅力に溢れていて、癖になる良作なのだ。
参照
※ https://news.livedoor.com/article/detail/17041456/
◼️放送情報
『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』
日本テレビ系にて、3月27日(金)21:00~22:54放送
声の出演:高山みなみ(江戸川コナン)、神谷明(毛利小五郎)、堀川りょう(服部平次)、山崎和佳(毛利蘭)、岩居由希子(吉田歩美)、高木渉(小嶋元太)、折笠愛(円谷光彦)、緒方賢一(阿笠博士)、林原めぐみ(灰原哀)、山口勝平(工藤新一/怪盗キッド)
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:山本泰一郎
脚本:柏原寛司
音楽:大野克夫
©2006 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS