『呪術廻戦』乙骨の“化け物っぷり”を見事に表現? 第3期の演出を原作ファン視点で評価

 さらに第3期の演出が見事だったと言えるのは、「死滅回游編」のカオスさを完璧に再現していたことだ。

 そもそも「死滅回游編」では弁護士やお笑い芸人など、さまざまなバックボーンを持った呪術師たちが登場。その世界観が混ざり合い、混沌とした展開を生み出してい……というある意味で少年マンガらしからぬ話だった。アニメ版はそんな同エピソードの特異性を、演出のレベルにまで落とし込んで表現していたように見える。

 たとえば正義感の強い弁護士・日車寛見が精神的に追い詰められ、呪術師になるまでを辿った回想シーンでは、社会派ドラマのような生々しさで彼の弁護士生活を描写。またお笑い芸人の術師・髙羽史彦が活躍する場面では、シリアスな雰囲気を切り裂くように、ギャグアニメのようなテンポや空気感が飛び出している。

 そのほか、虎杖がアンダーグラウンドな賭け試合を運営する秤金次のもとを訪れ、協力してくれるように説得を試みるシーンでは、3分以上の長回しを使った演出によってバイオレンス映画のような緊張感が生み出されていた。また禪院家の男たちが暗く、狭い部屋に集まり、当主の座をめぐって口論するシーンは、横溝正史的な因習ホラーの雰囲気を感じさせるところがあった。

 ほかのアニメでは見られない演出が大胆に取り入れられていた第3期「死滅回游 前編」だが、それはあくまで原作のポテンシャルを引き出すための創意工夫と捉えるべきではないだろうか。

 3月26日深夜に放送される第59話「仙台結界」は、乙骨が強敵たちを相手に大立ち回りを披露する回となっている。とくに原作ファンが注目する“あのシーン”がいかにアニメ化されるのか、見逃すわけにはいかないだろう。

■放送情報
TVアニメ第3期『呪術廻戦「死滅回游 前編」』
MBS/TBS系28局“スーパーアニメイズム TURBO”枠にて、毎週木曜24:26~全国同時放送
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、浪川大輔、緒方恵美
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:矢島陽介、丹羽弘美
副監督:高田陽介
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介、ACE
音楽:照井順政
音楽プロデューサー:小林健樹
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
オープニングテーマ:King Gnu「AIZO」(Sony Music Labels)
エンディングテーマ:jo0ji「よあけのうた」(Sony Music Labels)
©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:jujutsukaisen.jp
公式X(旧Twitter)https://x.com/animejujutsu

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