『ラストマイル』の“問い”をどう受け止めるべきか 野木亜紀子たちの“挑戦”を目撃せよ
それでも私たちは、何もしなくていいのだろうか
流れるままでは、社会はどうしようもないところまで進んでしまう。社会にも、そして私たち一人ひとりの人生にも、まだ戻れるという分岐点は必ずある。そして、その瞬間は今このときかもしれない。
ふと、「地球温暖化」について思いを馳せてしまった。このまま便利な生活を取り続けることで、地球の気温はどんどん高くなっていってしまう。将来、夏の気温が40℃になるかもしれない……そんな話を聞いても、どこか現実味がなかった。けれど、現実に40℃近い気温が観測される時代になってしまった。社会のフェーズは、気づけばあっという間に変わってしまう。
当時、いや今でもそう思っている節がある。自分ひとりが何かを変えたところで、社会の大きな流れは止められない。世の中を動かすのは力のある人たちで、私たちはその与えられた環境のなかで静かに生きていく。それが平凡で安寧な人生なのだと。
でも、本当にそうなのだろうか。「このままでいいのか」と思いながら、何もしない。その積み重ねが未来をつくってしまうのではないか。そんな不安を、映画の中でもふとした瞬間に言葉にする人物がいた。2024年に惜しまれつつこの世を去った火野正平が、「10年後はどうなっているんだろうな」とぼやく場面だ。
物語の世界よりも、少しだけ未来を生きている私たちは、「少しは良くなってきました」と言える日々を過ごしているだろうか。未来を託して、今を生きている人々はやがて去っていく。私たちもいつか、この世界を後にするのだ。そのとき「やれることはやった」と思うことはできるだろうか。
私たち一人ひとりも同じ流れのなかにいる。今がその分岐点なのかもしれないと自覚しながら生きること。ベルトコンベアは止まらない。この先の社会はもっと速度を上げていくかもしれない。 それでも私たちは、ときどき立ち止まって考えることができるはず。『ラストマイル』が送り届けた小さな問いを、どう受け取るのかは私たち自身なのだ。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2024/10/post-1809193.html
※ https://realsound.jp/movie/2026/02/post-2312884.html
■放送情報
映画『ラストマイル』
TBS系にて、3月9日(月)20:55〜23:27放送(本編ノーカット)
出演:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二、酒向芳、宇野祥平、安藤玉恵、丸山智己、火野正平、阿部サダヲ
『アンナチュラル』:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、竜星涼、飯尾和樹(ずん)、薬師丸ひろ子、松重豊
『MIU404』:綾野剛、星野源、橋本じゅん、前田旺志郎、麻生久美子
監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
主題歌:米津玄師「がらくた」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:得田真裕
プロデューサー:新井順子
エグゼクティブプロデューサー:那須田淳
共同プロデューサー:八尾香澄
制作プロダクション:TBSスパークル
配給:東宝
©2024映画『ラストマイル』製作委員会