『ばけばけ』トキがヘブンに妊娠を告白 「アイ、ウォンチュー、ウィズユー」に込めた本音

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第109話では、ヘブン(トミー・バストウ)がフィリピンへ旅立つ決意を固める一方で、トキ(髙石あかり)の妊娠という知らせが2人の未来を大きく揺らす展開となった。お互いを思うからこそ別々の道を選ぼうとした夫婦の覚悟が、思いがけない形で見つめ直される回でもある。

 きっかけとなったのは、ラン(蓮佛美沙子)の言葉だった。ヘブンに対し、トキがフィリピン行きの話をすでに知っていることを伝えてしまったと謝罪し、「先生のご決断をお待ちだと思います」と告げる。ヘブンが「アナタハ、ドッチノミチ、ノゾミマスカ?」と問いかけると、ランは「旦那の行きたい道を応援する」と答えた。ランが思わず口にしたこの言葉が、結果的にはヘブンが向き合うべき問題を、早めに表面化させたとも言える。いずれにせよ、ヘブンが決断しなければ前に進まない状況であることは確かだ。

 一方でトキは、フィリピン行きを知ってからというもの、心が落ち着かない日々を過ごしていた。ヘブンが朝まで日本滞在記を書き続けていた姿を思い出し、それこそがヘブンなのだと涙を流す。書くことに取り憑かれたように机へ向かう姿を愛してしまったからこそ、夢を奪うようなことは言えない。止めたい気持ちと、応援したい気持ち。その両方がトキの中でせめぎ合っていた。しかし、ランの言葉にも背中を押され、ヘブンはトキを日本に残し、自分はフィリピンへ旅立つ決意を固める。トキもまた、生まれてくる子どもや家族と日本に残りながら、ヘブンの作家活動を応援することを選んだ。

 2人はそれぞれの覚悟を胸に、互いの決意を伝えるため散歩へ出かける。向かったのは、街を一望できる見晴らしの良い丘だった。穏やかな風景とは裏腹に、2人の間には言葉にしきれない緊張が漂っているようにも見えた。そこでヘブンは、フィリピン行きを黙っていたことを「ゴメンナサイ」と謝罪する。そして「ワタシ、ニホン……」と言いかけたそのとき、トキは涙を浮かべたまま倒れてしまう。慌ててトキをおんぶし、病院へ連れて行こうとするヘブンだったが、トキはすでに病院へ行ったこと、そしてお腹に赤ちゃんがいることを伝える。

 この知らせを聞いた瞬間、ヘブンの表情は一変する。これまで見せてきた覚悟の顔が崩れ、これまでにないほど大はしゃぎしながら「ズット、ニホン、クラスシマショウ」と日本に残ることを口にした。フィリピンへ行くという決断は、作家としての夢を追うためのものでもあった。夫婦が別々の場所で生きる未来を受け入れようとしていた。しかし、家族が増えるという事実が、その前提を一気に塗り替えていった。ヘブンの中で、トキと生まれてくる子どもへの愛情が一気にあふれ出したようにも見えた。トキもまた、戸惑いながら英語で「アイ、ウォンチュー、ウィズユー」と返す。決して流暢とは言えない、ぎこちない言葉だが、それがいまのトキの精一杯の気持ちの伝え方だった。

 夫婦がそれぞれ相手を支える形を模索しながらも、妊娠という出来事によってもう一度“2人で生きる形”を見つめ直した第109話。トキのことを思うとモヤモヤする展開が続いていただけに、2人が納得できる形で思いを伝え合えたことに、ひとまずホッとした。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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