実写版『ゴールデンカムイ』は山田杏奈なくして成立しない アシリパが“本物”だった理由
さらに原作ファンからも好評を博したのが、杉元とのコミカルな掛け合いのシーン。なかでも象徴的なのが“リスのチタタプ”のシーン。味噌を入れた杉元に対し、それを“オソマ(うんこ)”と勘違いするアシリパのやり取りは、『ゴールデンカムイ』らしさが凝縮された名シーンである。
実写においてコメディは難易度が高い。間がずれれば一気に冷える。しかし山田は、ためらいのない表情と大胆な変顔で振り切った。思わずクスッと笑ってしまうその潔い山田の変顔は、公開当時、SNSで話題になるほど、視聴者への強い印象を残すシーンとなった。シリアスとギャグの振り幅を恐れない。その胆力と覚悟が、『ゴールデンカムイ』のテンポを守ったとも言える。
そして何より難しいのは、アシリパが“アイヌ文化を纏う存在”であることだ。明治期の北海道という時代背景。雪原での生活。馬の扱い、弓の構え、食文化、言語。現代日本に生きる俳優にとっては非日常の連続だ。それらを表層的に“なぞる”のではなく、身体に落とし込み、自然な動きとして成立させること。その積み重ねがなければ、物語は簡単に嘘になる。
山田杏奈のアシリパは、文化を“借りる”のではなく、“背負っている”ように見えた。まさにアイヌの民族に生まれ育ったアイヌの少女として生きていた。動物たちの命をいただくという意識や、雪原での立ち姿も、一挙手一投足に違和感がない。敬意と理解が感じられたからこそ、観客は安心して物語にのめり込むことができた。杉元が「アシリパさん」と敬意をもって従うのも納得のアシリパ像だ。
映画にはアクションの迫力も、映像の壮大さも重要。だが物語の魂を守るのは、キャラクターの実在感にほかならない。山田杏奈のアシリパは原作に忠実でありながらも、アイヌの女を演じる覚悟が画面越しに伝わってくる。公開を控える『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』でも、きっと物語の中心にはアシリパがいる。そしてその背後には、役と真摯に向き合う俳優・山田杏奈の覚悟がある。
※アシリパの「リ」は小文字が正式表記
山田杏奈が語る、『ゴールデンカムイ』アシリパ役への思い ドラマ版で感じた新たな“色”
累計発行部数2,900万部を超える野田サトルの人気漫画を実写映画化した『ゴールデンカムイ』は、壮大なスケールと再現度の高さからフ…■放送情報
ドラマ『ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』特別編集版
日本テレビ系にて、2月27日(金)21:00〜22:54放送
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、池内博之、木場勝己、大方斐紗子、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭、片桐健滋、落合賢、佐藤洋輔
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊、出羽良彰
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