『鬼滅の刃』はなぜ最強IPになったのか? 映画×テレビ×配信で熱量を循環させる仕組み
「ワールドツアー」という発明
そうして高まった人気の火を絶やすことなく今にもつなげているのが、『鬼滅の刃』のすごいところだ。『無限列車編』が映画史を塗り替えるヒットを作った後、再びテレビシリーズを再開するわけだが、単純にテレビと配信で展開するだけにとどまらず、「ワールドツアー」上映という新たな上映形態を発明した。
前シリーズの最も盛り上がるクライマックスのエピソードと、新シリーズへの期待を煽る最初のエピソードを掛け合わせて期待と熱狂をキープする戦略を打ち立てた。テレビシリーズの間を埋めるのは容易なことではない。毎シーズン数多くの作品が放送・配信されるため、埋もれないことが肝要だが、どんな人気シリーズも人気の維持というのは困難を極める。『鬼滅の刃』は放送・配信と劇場展開の両輪を常に回し続けることで、ファンの熱量を維持し続けることに成功した。
その究極の形と言うべき施策が、テレビシリーズを含む過去作のほぼ全てを映画館で上映する「鬼滅シアター」だ。『無限城編第一章』の公開を盛り上げるために、過去のエピソードを一気に上映するのは、前代未聞の展開だ。
もちろん、この「鬼滅シアター」展開中も配信で観ることができる状態だった。『鬼滅の刃』は特定のプラットフォームに囲い込むことをしない。囲い込まずに積極的にタッチポイントを増やして観られる機会を増やす。IPは積極的に活用してこそ、真価を発揮するという哲学のもと運用されているように筆者は思える。
例えば、Netflixは独占配信にこだわり、タッチポイントを同社のプラットフォームに限定することを好むのとは対照的だ。希少価値よりもアクセスしやすく親しめるようにすることで、『鬼滅の刃』はIPとしての価値を高め続けている。
早朝の再放送で新たなファンを呼び込めるか
『無限城編』の続編までにはさすがに間が空くのではと思われていた矢先、フジテレビは『鬼滅の刃』の全話再放送を、日曜日の朝に放送することを発表した。これによって、またファンは継続してタッチポイントを持てることとなり、朝の時間帯放送によって、新たなファン層の開拓につながることが期待される。
すでに第1期の放送から6年が過ぎ、この間に生まれた子どもたちもそれなりの数になる。劇場には小さな子どもも含めてファミリー層も多く訪れていることを考えると、幼児層にも訴求する力のある作品だし、継続して新たなファンを獲得できるポテンシャルは高い。
このように絶えず供給を絶やさずにファンとつながり続ける姿勢が『鬼滅の刃』の人気を支えているのだろう。劇場と放送・配信、両輪の展開で今後も高い熱量を維持していくに違いない。
■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
全国公開中
キャスト:花江夏樹(竈門炭治郎役)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子役)、下野紘(我妻善逸役)、松岡禎丞(嘴平伊之助役)、上田麗奈(栗花落カナヲ役)、岡本信彦(不死川玄弥役)、櫻井孝宏(冨岡義勇役)、小西克幸(宇髄天元役)、河西健吾(時透無一郎役)、早見沙織(胡蝶しのぶ役)、花澤香菜(甘露寺蜜璃役)、鈴村健一(伊黒小芭内役)、関智一(不死川実弥役)、杉田智和(悲鳴嶼行冥役)、石田彰(猗窩座役)
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:矢中勝、樺澤侑里
美術監修:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)・LiSA「残酷な夜に輝け」 (SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
総監督:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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