『チャーリーとチョコレート工場』はなぜ愛され続ける? 毒気と甘みの“絶妙なバランス”

 映像と並んで本作の世界観を決定づけているのが、ダニー・エルフマンによる音楽だ。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『ビッグ・フィッシュ』など、バートン監督との長年のコラボレーションで知られる作曲家である。特に印象的なのは、工場で働く小人・ウンパルンパたちが歌うミュージカルナンバーだろう。子どもたちが脱落するたびに、ウンパルンパたちが一斉に現れ、その子の欠点を歌い上げる。ビートルズ風、ディスコ調、サイケデリックロック風と、シーンごとに曲調を変えながら展開されるこれらの楽曲は、陽気でありながらどこか不穏。子どもの悪行を嬉々として糾弾するブラックな愉しさに満ちている。

 このウンパルンパの歌が象徴するように、本作はシンプルな教訓譚でもある。工場に招かれた5人の子どものうち、4人は欲深さやわがままが災いして次々と脱落していく。容赦のない“自業自得”な展開は、原作者ロアルド・ダールの持ち味だ。そして最後に残るのは、貧しくとも家族を大切にする心優しいチャーリー。「家族を捨てるなら工場をあげる」というウォンカの提案を断り、家族を選ぶ姿は、シンプルながら胸を打つ。

 翌週2月13日に放送される『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、ティモシー・シャラメがウォンカの若き日を演じるミュージカル映画だ。『パディントン』シリーズのポール・キング監督が手がけ、全世界で6億ドル以上の興行収入を記録した。ただし、注意したいのが、この2作品は直接的な前日譚・続編の関係にはないことだ。

 設定にも相違点が多く、あくまで「ロアルド・ダールの原作を共有する別の映画」として観るのが自然だろう。一方で、2005年版のデップ演じるウォンカが抱えていた孤独やトラウマの萌芽のようなものが、シャラメ演じるウォンカの純粋な夢追い人としての姿に見え隠れするシーンもある。連続で観ることで、ウォンカというキャラクターがどのように解釈され、形づくられてきたかを感じ取れるはずだ。

 20年という時間は、かつての子どもが親になるのに十分な長さだ。家族の大切さを描いた本作を、今度は自分の子どもと一緒に観る。そんなサイクルがどこかで続いているのかもしれない。甘いだけじゃない、ちょっとクセになる後味が魅力の本作は、きっとこれからもお茶の間の定番であり続けるのだろう。

◼️放送情報
『チャーリーとチョコレート工場』
日本テレビ系にて、2月6日(金)21:00〜22:54放送
出演:ジョニー・デップ(宮野真守)、フレディ・ハイモア(冨澤風斗)、ヘレナ・ボナム=カーター(渡辺美佐)
監督:ティム・バートン
原作:ロアルド・ダール
音楽:ダニー・エルフマン
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