荒井晴彦監督特集オールナイト、テアトル新宿で開催 柄本佑×吉岡睦雄も登壇

綾野剛主演映画『星と月は天の穴』の公開を記念して、“監督”荒井晴彦の一挙3作品を上映する特集イベントがテアトル新宿にて12月6日に開催されることが決定した。
『星と月は天の穴』は、『ヴァイブレータ』『共喰い』などでキネマ旬報脚本賞に5度輝き、近年は『火口のふたり』『花腐し』など監督も務めている荒井が、長年の念願だった吉行淳之介の同名小説を映画化した人間ドラマ。
主人公の矢添克二を演じるのは、荒井と『花腐し』でもタッグを組んだ綾野。矢添を取り巻く女たちの1人、女子大生の紀子を演じるのは、新星・咲耶。女性を拒む矢添の心に無邪気に足を踏み入れていく。矢添のなじみの娼婦・千枝子を演じるのは、荒井作品3作目の出演となる田中麗奈。そのほか、柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らがキャストに名を連ねた。
特集イベントは、テアトル新宿に導入されている音響システム“odessa”によるオールナイト上映企画「odessa Midnight Movies」(オデッサ ミッドナイト ムービーズ)vol.33 として実施され、『火口のふたり』『花腐し』『星と月は天の穴』の3作品を上映。上映前には荒井監督、3作品に出演している柄本佑が登壇する。
また、『星と月は天の穴』を鑑賞した著名人よりコメントが到着。荒井が脚本を手がけた『Wの悲劇』で主演を務めた三田佳子は、「原作を乗り越えてエロティックがいや増していて、今は老いた私でさえ すっかり惚けてしまいしばらく動けなかった」と絶賛。荒井の盟友である映画監督の根岸吉太郎は「文学と映画の幸運な出会いに思えた」と評し、スタジオジブリの鈴木敏夫は「見終わって、静かに自分を見つめ直した」とコメントを寄せている。
あわせて、荒井組の撮影風景を捉えたメイキング写真や、綾野演じる矢添の新スチールも公開された。
コメント
三田佳子(俳優)
名作「Wの悲劇」で出会った荒井晴彦さんの脚本(セリフ)はリアルでずわっと心を揺さぶり官能的だった。
負けてなるものかと戦った日が懐かしい。
監督作品「星と月は天の穴」は原作を乗り越えてエロティックがいや増していて、今は老いた私でさえすっかり惚けてしまいしばらく動けなかった。
素晴らしかったです!
根岸吉太郎(映画監督)
脚本講座ではナレーションや文字で説明するのはできるだけ避けて映画的表現方法を探せというが、この映画ではモノローグも原作の文章の文字も有効に生きていて、文学と映画の幸運な出会いに思えた。
現実と小説の中身も際どく融合して、主人公の気持ちの漂いを浮かび上がらせることに成功している。
1969年の設定も生きていて、色彩の実験精神とともに吉行文学から映画が一歩先に進めたのではないだろうか。拍手を送ります。
鈴木敏夫(スタジオジブリ)
「天の穴」とは、たぶん私たちの心の奥のこと。
見終わって、静かに自分を見つめ直した。
宮田昭宏(編集者)
――ぼくにはコンプレックスがないと思っているだろうけど、あるんだよ。
吉行淳之介さんの小説は、映画化するのは簡単なように見えて、不可能に近い。
言葉と仕掛けが多重の意味を持っているので、下手をするとポルノ映画になってしまうからだ。
荒井晴彦監督は、子供が遊ぶための公園のブランコを、性に振りまわされる大人の舞台に使ったり、印象的なパート・カラーにしたり、小説の文章を巧みに読ませたりして不可能を可能にした。
三島有紀子(映画監督)
咲耶さん、田中麗奈さん――その表情と佇まいの繊細な演技に、思わず息をのむ。
ブランコの描写も映画的に秀逸で、前にも進まないのに激しく揺れるその瞬間に、観る者は生きる力を実感する。
そして、この映画は荒井晴彦監督の自画像と思う。
児玉美月(映画批評家)
運命の赤い糸によって誘われた男女は、
星と月の眩い天の穴とは対照的な疚しく暗い穴を希求し、
二色だけの世界がその艶かしい闇を一層際立たせてゆく。
男の朴訥とした口語と詩情を纏う文語の交錯──その沈黙と行間にこそ、性と色香が立ち篭めている。

■イベント情報
odessa Midnight Movies[vol.33]
『星と月は天の穴』公開記念 荒井晴彦監督 特集
12月6日(土)22:45 開場/23:00 開演(翌6:27終了見込み)
上映作品:『火口のふたり』『花腐し』『星と月は天の穴』
会場:テアトル新宿(東京都新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1F)
鑑賞料金:3,000円均一
登壇者:荒井晴彦監督、柄本佑(俳優)、MC吉岡睦雄(俳優)
テアトル新宿公式サイト:https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/
■公開情報
『星と月は天の穴』
12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
出演:綾野剛、咲耶、岬あかり、吉岡睦雄、MINAMO、原一男、柄本佑、宮下順子、田中麗奈
脚本・監督:荒井晴彦
原作:吉行淳之介『星と月は天の穴』(講談社文芸文庫)
撮影:川上皓市、新家子美穂
照明:川井稔
録音:深田晃
美術:原田恭明
装飾:寺尾淳
編集:洲﨑千恵子
音楽:下田逸郎
主題歌:松井文「いちどだけ」ほか
写真:野村佐紀子、松山仁
製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2025「星と月は天の穴」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/hoshitsuki_film/





















