満島ひかりの娘役で鮮烈な銀幕デビュー 新人・青山姫乃が歩む“求められる”役者道

役に入り込みすぎて見失った1年間と、そこからの脱却

――2022年に雑誌『nicola』の専属モデルオーディションを受けてこの世界に入られたそうですが、もともと芸能界に憧れはあったんですか?

青山:そういう気持ちはまったくなかったです。チアダンスを小2から中3くらいまでやっていて、それに夢中だったんです。母から勧められてオーディションを受けることになったときにも、「そうなんだぁ」くらいの感覚でした。

――その後アミューズに所属して、本格的にお芝居をするように?

青山:そうですね。『nicola』モデルを始めてから事務所に所属して、中1のときにレッスンで初めて本格的なお芝居に触れました。そこからなんとなく1年間続けて、2年目から「これは面白いかも」と思うようになって。今は3年くらい経ちますが、まさかこんなに早く作品が決まるとは思っていませんでした。

――そんなふうには見えない、本当に素晴らしいお芝居でした。この世界に入ってから、印象的だった作品、人物との出会いはありますか?

青山:私は杉咲花さんに憧れていて、最近は『52ヘルツのクジラたち』を映画館で観ました。表情がすごく素敵で、「私もこうなりたいな」と思って少し真似したりもしています。

――ご本人とはまだ会えていない?

青山:はい、まだお会いできていないです。これから女優として成長して、会えるようになってから会えたらいいなと思っています。

――この仕事を始めてから、挫折したり、しんどいと思うような経験はありましたか?

青山:かなりありました。お芝居をすると、台本の中の人物も含めていろいろな人と関わることになるので、自分がわからなくなってしまって。いろいろな役をやる中で、「本当の自分ってなんだっけ?」と。学校での友達とのかかわり方まで、わからなくなってしまった時期がありました。

――それをどう乗り越えたんですか?

青山:抜け出すまでに1年くらいかかってしまったんですけど、そんなに深く考えなくても、人間はふとした瞬間に素が見えるじゃないですか。そこをどんどん見つけていけばいいのかなって。もちろん“素”はあるけど、決まっているわけじゃない。変わってもいいし、そのままでもいいし、「自分の好きな性格に変えればいいじゃん」と気づいて、そこから楽になりました。

――誰かに言葉をかけられたわけではなく?

青山:誰かから声をかけられても、入ってこなかったんですよね。時間をかけて、自分の中で決着をつけた感じでした。

――まだ16歳とは思えないお答えですが、ご自身の性格を一言で表すと?

青山:一言でいうと、慌ただしい人かもしれないです。いつも急いでいて、落ち込んだり、ハイになったり、忙しい人だと思います(笑)。

――好きなことにはガッとのめり込んでいくような?

青山:本当にそうで、逆に嫌なことは何もしたくないっていう(笑)。勉強があまり得意じゃないので、映画にハマってずっと観ていて、課題の提出がギリギリになることもよくあります。

満員電車でおにぎりがぺちゃんこに!?

――山形ご出身だそうですが、東京での生活はいかがですか?

青山:電車が2分おきに来るなんて地元では絶対にないので、毎日新鮮です。満員電車は本当に大変で、おにぎりを持って行ってもバッグの中でぺちゃんこになっちゃうんですよ。山形では、丸いおにぎりのままなんですけどね。

――今年の春に、お姉さんと2人で上京されたと聞きました。映画も家族の物語ですが、青山さんからも家族愛が伝わってきます。

青山:実家に4人で住んでいたときには、変なダンスを踊ったり、変顔をしたり。ワチャワチャと仲のいい家族で、今でも毎日テレビ電話をしています。上京してからも姉がご飯を作ってくれて、本当にありがたいです。もし一人だったら、きっと毎日麺だったと思うんです。麺なら茹でるだけなので(笑)。

――たしかに(笑)。ちなみに、一番好きな麺料理は?

青山:ラーメンです。私は好きなものを食べる代わりにいっぱい運動するタイプで、今はニンニクたっぷりの、こってこての味噌ラーメンが食べたいです。山形にはラーメン屋さんがたくさんあって、実家の近くにもたくさんお店があって。でも、東京もラーメン屋さんはたくさんありますよね……行き始めたら、ちょっと危ないかもしれないです(笑)。

――あらためて、今後やってみたい作品や役はありますか?

青山:ホラー作品をやってみたいです。観るのは苦手なんですが、どうやって撮影しているのか、裏側がすごく気になっていて。お化けを見て、「キャッ」と叫んだりもしてみたいです。ただ、たとえ自分が出ていても音楽が怖いので、映像は無音で観るかもしれません。

――目指す女優像についてはいかがですか?

青山:一番幸せなのは、いろんな作品でいろんな役を演じられること。その中で、「この人いいよね」と言ってもらえるような女優になれたらと思っています。知名度も必要だし、大変なことだと思いますが、誰か一人でも「この人=青山姫乃」と名前を挙げてもらえるようになれたらうれしいです。

■公開情報
『兄を持ち運べるサイズに』
TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中
出演:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大
脚本・監督:中野量太
原作:『兄の終い』村井理子(CE メディアハウス刊)
制作プロダクション:ブリッジヘッド/パイプライン
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会
公式サイト:https://www.culture-pub.jp/ani-movie/
公式X(旧Twitter):@ani_movie1128
公式Instagram:@ani_movie1128

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