『牙狼<GARO> TAIGA』は“初心者”も必見! 雨宮慶太監督の作家性が凝縮された“原点”作に

『牙狼<GARO> TAIGA』は“初心者”も必見

 『牙狼〈GARO〉』という作品名を聞いたことはあるだろうか。牙狼とは、人間を喰う邪悪な魔獣“ホラー”を斬るべく戦う、黄金色の狼を模したヒーローの名だ。2005年に誕生したこの作品が20周年を迎える今年10月、完全新作の劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』が公開される。

 最初の連続テレビドラマ『牙狼〈GARO〉』(2005年)は、怪奇要素のある特撮番組として深夜帯に放送された。闇の存在“ホラー”を狩る使命を持つ魔戒騎士(まかいきし)と呼ばれる戦士、その魔戒騎士の中でも一子相伝で代々受け継がれるのが黄金騎士ガロの称号である。

牙狼<GARO>シリーズ20周年記念PV

 関連玩具を販売するためメインターゲットを子どもにしている仮面ライダーやスーパー戦隊と異なり、大人向けのダークな作風の『牙狼〈GARO〉』は残酷描写やセクシャルなシーンが多分にある。ガロの鎧を身にまとう戦士の闘いと当時最新鋭のVFX、そして原作、脚本、監督を手がける雨宮慶太の独創的な世界観は、深夜番組にも関わらず多くの視聴者を魅了して熱烈な支持を得た。その結果『牙狼〈GARO〉』は、様々な続編とスピンオフ、さらにはアニメ版が制作されて世界を拡張し続け、あっという間の20周年となったわけだ。

 とはいえ、20年も続いているシリーズ物の新作映画となれば、歴代作品を観ていない新規の人ではとっつきにくいのではないか? 初見の者にはついて行けない内容じゃなかろうか? そう考える人はいるだろうがご心配なく。この度の劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』は、シリーズ第1作で主人公を務めた冴島鋼牙(さえじまこうが)の父、冴島大河(たいが)の若き日を描いた始まりの物語なのだ。

 少年時代の大河がどのような出会いと鍛錬を経て魔戒騎士になったのか、先代の黄金騎士ガロの戦いがいかなるものだったかを誰もが初めて目にする作品なので、むしろこの映画を入り口に『牙狼〈GARO〉』の世界に入るには打ってつけというわけなのだ。仮面ライダーや戦隊シリーズは知っているが、牙狼は観たことがないという人にこそ本作をお薦めしたい。

 もちろん、これまでシリーズを堪能してきたコアなファンは、若き大河とホラーのバトルがようやく観られるわけで期待が高まることだろう。今までの『牙狼〈GARO〉』シリーズで大河を演じていたのは渡辺裕之だが、今回の映画で若き大河を演じている北田祥一郎は、髪型といい顔立ちといい、実に「あの大河の若い頃」という趣があって抜群のキャスティング。法具や法術を駆使して魔戒騎士をサポートする魔戒導師の吹奇(ふき)に神嶋里花が扮する。

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