『DOPE』髙橋海人と中村倫也は最高のバディだ 運命を変えた才木の決意とジウへの答え

『DOPE』才木と陣内は最高のバディだった 

 髙橋海人と中村倫也がW主演を務めた『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)が、ついに最終話を迎えた。異能力を呼び覚ます新型ドラッグ「DOPE」をめぐって繰り広げられてきた攻防は、ついにジウ(井浦新)との直接対決へ。これまで積み重ねられてきた謎と伏線が一気に収束し、登場人物たちがそれぞれに背負った過去と向き合う姿が描かれた。

 物語は、いよいよジウとの直接対決に向けて動き出す場面から始まる。美和子(真飛聖)と結衣(蒼戸虹子)のもとに現れたジウは、異能力者が3人も揃う才木(髙橋海人)の家族を「特別だ」と語り、さらに才木が麻薬取締部特捜課の一員であることを明かす。その言葉は家族の心に恐怖と動揺を刻み込み、最終決戦の幕開けを強く印象づけた。

 才木、綿貫(新木優子)、葛城(三浦誠己)、柴原(豊田裕大)は浄水場へと急行。葛城と柴原は人質となった職員の救出とDOPEの確認へ、綿貫は泉(久間田琳加)の身柄を押さえるために動く。そして才木は陣内(中村倫也)と合流し、ジウが待つ場所へと足を進めていく。道中で才木は、自らのこれまでの態度を振り返り「ドーパーを見る目が間違っていた」と打ち明ける。ジウの「私はあなたで、あなたは私」という言葉を反芻し、自分もまた罪を背負う存在だと認める才木の姿には、かつての未熟さから脱した確かな覚悟が漂っていた。

 それでも未来予知で見たのは、自分がジウに銃で撃たれる結末。迫る死を受け入れながらも、才木は「俺は生まれて初めて誰かを殺したいと思った」と強い眼差しで口にする。陣内は「俺が守ってやる」と告げ、かつて彼が繰り返し仲間に投げかけてきた言葉を再び響かせる。そのやりとりは、過酷な戦いに向かう者たちの心を奮い立たせるようでもあった。

 一方で綿貫は泉と再会する。泉はテレポーテーションを駆使して、2人にとって大切な記憶の場所へと移動。かつての確執が再び顔を出すが、綿貫のまっすぐな優しさは揺るぎなく、泉もまた心の奥に押し込めていた感情を思い出していく。互いの痛みが交錯するシーンは、最終話にふさわしく、仲間との絆や赦しのテーマを濃く浮かび上がらせた。

 そして、ついに才木と陣内はジウと対峙する。怒りを露わに銃を構える才木だが、ジウの能力に翻弄され、一発も命中させることができない。相手との位置を自在に入れ替えるかのような力は圧倒的で、才木は翻弄され続ける。やがて陣内が身を挺して才木を庇い、ジウの攻撃を全身に受けて倒れ込む。陣内を救うために必要なのは、美和子の“ヒーリング”の力だけ。しかしそのためには再びDOPEを服用しなければならず、美和子の身体は取り返しのつかない代償を負うことになる。ジウはDOPEを突きつけ、さらには亡き隆(田村健太郎)の幻影を呼び出し、美和子の心を揺さぶろうとする。それでも美和子は強い決意を固め、DOPEを投げ捨てる。その選択は、愛する者の命を救うために自らを犠牲にしてきた彼女の人生の中で、最も大きな“拒絶”の瞬間だった。

 倒れていた結衣が目を覚まし、銃を構えてジウに挑もうとするが、力尽きてその場に崩れ落ちる。ジウが口にしたのは、12年前に起こったスタジアムでのテロ事件。あの時、才木の能力に可能性を感じ、以来ずっと彼を“育てる”ために暗躍してきたのだという。だが、結局はその理屈も虚しく、才木を切り捨てようとするジウの姿には狂気と諦観が入り混じっていた。

 その瞬間、結衣の力が覚醒し、才木たち家族を光で包み込む。ジウがひるんだ一瞬を突き、才木の力はこれまでにない形で発現する。真っ白な世界に移り変わった空間で、才木とジウは最後の対話を交わす。そこで才木が示したのは、復讐ではなく“他者のために力を使う”という意志だった。「俺とあなたは違います」――その一言は、ジウにとって自らの存在理由を否定される宣告でもあり、同時に彼が最後に欲していた答えでもあったのかもしれない。ジウはその言葉を受け止め、最期を才木に託すのだった。

 多くの犠牲を背負いながらも、才木は最後まで自分の選択を貫いた。戦いの果てに残ったのは、力をどう使うのかを問われ続ける者としての覚悟と、仲間や家族への揺るぎない信頼だった。正義を掲げる警察官として、そして一人の人間として、才木はようやく自らの歩む道を掴んだのだろう。

 ラストシーンは、陣内と才木が香織(入山法子)の墓前に並ぶ姿で締めくくられる。微笑みを浮かべながら語り合う2人の表情には、復讐の鎖から解き放たれた安堵と、これからを生き抜こうとする決意が刻まれていた。『DOPE』が描いてきた戦いの結末は、痛みを抱えながらも前を向く2人の笑顔に込められていた。

『DOPE 麻薬取締部特捜課』の画像

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』

木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。

■配信情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
U-NEXT、TVerにて配信中
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs

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