『明日はもっと、いい日になる』が描いた“強くて脆い”家族の絆 信子の言葉が脳裏で重なる

きょうだい児とよくセットで語られる言葉の一つに「毒親」がある。障害のある子どもにばかりに手をかけて、そのきょうだいに目を向けない、あろうことか我慢を強いたり、ケアを肩代わりさせる親を「毒親」と認定して責める風潮もなくはない。だが、親も人間で、限界があることは理解しておくべきだろう。仕事をして家事もやりながら、週4で子どもをリハビリに通わせるのは並大抵のことではない。それでも、両親が必死に頑張ってきたのは、菫玲に対する負い目があるからだった。

菫玲が障害を抱えて生まれてきたことに責任を感じ、「満足な体に産んであげられなくてごめんね」という言葉をかけた母・桜(西原亜希)。それは、障害児を持つ親なら誰もが一度は思ったことがあるのではないだろうか。そのこと自体は責められるようなことではない。でも、それを言われた子どもの中には今の自分を否定されていると感じて傷つく子もいる。菫玲も、できるなら歩けるようになりたかった。ただ、歩けない今の自分も自分で、それを両親にも認めてもらった上で、家族全員が望む未来に向かって一緒に最善の選択を積み重ねていきたかったのだ。
その家族にはもちろん、柊果も含まれている。両親と菫玲が抱きしめ合う姿を、どこか寂しげに眺めていた柊果に「ホントにお姉ちゃんのためだけだった?」と声をかけた翼。今まで柊果は家族といても、どこか自分が蚊帳の外にいるような気持ちだったのかもしれない。柊果が菫玲の限界に気づけたのも、家族と一歩離れたところから見守っていたからとも言える。そんな柊果が勇気を振り絞って打ち明けた「お姉ちゃんばっかずるい」という本音を、両親はしっかりと受け止めた。

「ごめんね」と言いながら柊果を抱きしめる桜の姿に、「親っていうのは、子どもの成長とともになるものなの」という信子(小林きなこ)の言葉が脳裏で重なる。妊娠が判明するも、様々な親子の問題を目の当たりにしてきたがゆえに自信が持てなくなった芽衣(莉子)。きっと、最初から自信がある親なんていない。だけど、南野(柳葉敏郎)が言うように、自信がないのはむしろ正解でちゃんと向き合っている証拠だ。大事なのは、知らないうちに子どもを傷つけてしまう可能性を心に留めておくこと。その上でもし傷つけてしまったら、反省して、謝って、抱きしめて、次にどうすればいいかを一緒に考える。その繰り返しだ。それは親子に限らず、人間関係すべてにおいて言えることなのではないだろうか。強くて脆い絆を支えているのもまた、強くて脆い人間なのだ。
児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。
■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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