『鬼滅の刃』胡蝶しのぶの笑顔の裏にあった“意外な素顔” 早見沙織が体現した静かな激情

そんなしのぶがなぜ感情を制御するようになったのか。それはひとえに姉・カナエの影響だと思われる。
カナエは朗らかな性格で、つねに笑みを浮かべていたが、その姿は今のしのぶにそっくりだ。しかもカナエは生前、「しのぶの笑った顔が好き」だと伝えていた。しのぶの身振り手振りには、姉に対する強い敬愛の念が刻まれている。
ただし、しのぶにはカナエから受け継げなかった部分もあった。というのもカナエは両親の命を鬼に奪われながらも、どうにかして鬼と仲良くできないかと考えており、しのぶはそんな「鬼と仲良くする夢」を継承するつもりだった。

しかし炭治郎に見抜かれたように、しのぶの内心には鬼に対する強烈な怒りがつねにあった。鬼である珠世と協力することが決まった際には、必要なことだと理解しつつも、感情をコントロールすることに苦労していたほどだ。
また「那田蜘蛛山編」では「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに」と語る場面も描かれていたが、そんな言葉もおそらく本心とはかけ離れていたのだろう。
だがカナエの意志を継ごうとするしのぶの努力が、無駄だったわけでは決してない。たとえば珠世との協力関係は、まさにカナエが夢見ていた理想の実現とも言える。
また「那田蜘蛛山編」のあと、善逸は血鬼術で蜘蛛にされた人々が“女神のよう”なしのぶのもとに集まり、治療を受けていたことを語っていた。偽りの笑顔だとしても、それによって救われていた人は多かったのではないだろうか。
慈愛に劣等感、怒り……。しのぶの内面は、誰よりも人間らしい感情で満ちていた。ぜひ劇場まで足を運んで、その激情がほとばしる様子を見届けてほしい。
■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
全国公開中
キャスト:花江夏樹(竈門炭治郎役)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子役)、下野紘(我妻善逸役)、松岡禎丞(嘴平伊之助役)、上田麗奈(栗花落カナヲ役)、岡本信彦(不死川玄弥役)、櫻井孝宏(冨岡義勇役)、小西克幸(宇髄天元役)、河西健吾(時透無一郎役)、早見沙織(胡蝶しのぶ役)、花澤香菜(甘露寺蜜璃役)、鈴村健一(伊黒小芭内役)、関智一(不死川実弥役)、杉田智和(悲鳴嶼行冥役)、石田彰(猗窩座役)
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
美術監督:矢中勝、樺澤侑里
美術監修:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:Aimer「太陽が昇らない世界」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)・LiSA「残酷な夜に輝け」 (SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
総監督:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
©︎吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
公式サイト:https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/
公式X(旧Twitter):@kimetsu_off





















