當真あみの横顔に見惚れる　『ちはやふる－めぐり－』青春ドラマとして“完璧”な合宿描写に

　7月30日に放送された『ちはやふる－めぐり－』（日本テレビ系）は第4話。ここまでのエピソードでは千早（広瀬すず）を含め、“机くん”こと駒野（森永悠希）や“肉まんくん”こと西田（矢本悠馬）といったオリジナルキャストが登場してきているが、今回その流れに加わったのは、ライバル校・北央学園の“ヒョロくん”こと木梨浩（坂口涼太郎）。太一（野村周平）ら瑞沢高校のOB／OGを差し置いて出てくるとは、いかにもヒョロくんらしい神出鬼没さである。

　塾の合宿と梅園高校競技かるた部の強化合宿の日程が重なってしまい、両親に嘘をついて後者に参加することにしためぐる（當真あみ）。梅園の部員たちは奏（上白石萌音）に導かれ、東京随一の強豪校である北央学園の合宿所に到着し、そこで北央かるた部の運動部さながらのハードな練習風景に圧倒される。そんななか、北央のエースである奥山翔（大西利空）が春馬（高村佳偉人）の双子の弟であることが判明。ところが翔は、春馬の存在を北央の部員たちに隠していたのである。

　こうして春馬がフィーチャーされるエピソードとなれば、当然タイトルに選ばれるのは、彼の名字である“奥山”が含まれる猿丸太夫の〈おくやまに もみぢふみわけ なくしかの　こえきくときぞ あきはかなしき〉。ここで歌われている、群れから離れて一人寂しく鳴いている鹿の情景が、家族からないものとして扱われ、また試合に出ることができずに部のなかでも責任を感じて疎外感を抱いてしまう春馬の心情と重ねられていくわけだ。

　春馬といえば前回、かるたの試合に臨もうとするとめまいがしてしまう“イップス”に悩まされていることが明らかにされていた。自ずと物語の向かう先は、そんな春馬が部のメンバーと一緒にかるたが取れるようになること――すなわち現在いる5名の部員たち全員で団体戦に臨むことができるという、梅園かるた部がチームとして完成する瞬間、彼らの結束力がより強まる瞬間に他ならない。

　そこで役立つのは、やはり“合宿”という要素だろう。部活動を描くなかで鉄板のシチュエーションともいえる合宿。原作の『ちはやふる』においては第13首で、瑞沢高校競技かるた部のメンバーが揃った後、全員で太一の家に行って特訓を行う合宿のシーンが描かれた。太一の厳格な母親が戻ってきたことで千早と奏は千早の家に逃げるのだが、夜にふたたび全員で合流して千早の誕生日を祝う。瑞沢かるた部の友情が深まるきっかけの一つとして重要な機能を果たした。

　また映画『ちはやふる -上の句-』においては、先述の“初合宿”が千早や太一が所属している府中白波会の合宿に参加するというかたちに脚色されており、そこで千早と太一と綿谷新（新田真剣佑）の関係性が部員たちに周知され、かつ太一が千早を追いかけるように瑞沢高校に進学したことが明らかになり奏は大興奮。『ちはやふる』という物語の、ないしは青春ドラマの一要素として必要不可欠な恋愛要素が付与される役割を、“合宿”が担っていたのである。

　それらを踏襲するかのように今回の『めぐり』においても、眠れずに合宿所の自販機で飲み物を買おうとしためぐると、同じように起きてきた風希（齋藤潤）は外に出て、一緒に夜空を見上げる。甘いものが苦手なのに、めぐるが誤って買った甘い飲み物を水と交換する優しさを見せた風希は、星が見えない空を見上げるめぐるの横顔に見惚れてしまう。風希がめぐるへの好意を自覚するタイミングで、花火をするために起きてきた他の3人と合流。恋と友情、この青春の2大要素が部活の合宿というシチュエーションのもとにぎゅっと凝縮された、実に魅力的な夜のシーンであった。

■放送情報
『ちはやふる－めぐり－』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演：當真あみ、原菜乃華、齋藤潤、藤原大祐、山時聡真、大西利空、嵐莉菜、坂元愛登、高村佳偉人、橘優輝、石川雷蔵、瀬戸琴楓、髙橋佑大朗、藤枝喜輝、大友一生、漆山拓実、上白石萌音、内田有紀、要潤、榎本司、富田靖子、高橋努、波岡一喜、髙嶋政宏
ショーランナー：小泉徳宏
監督：藤田直哉、本田大介、松本千晶、吉田和弘
脚本：モノガタリラボ（小坂志宝、本田大介、松本千晶）、金子鈴幸
プロデューサー：榊原真由子、巣立恭平、中村薫、平田光一
企画・プロデューサー：北島直明
チーフプロデューサー：松本京子
音楽：横山克
主題歌：Perfume「巡ループ」（UNIVERSAL MUSIC LLC）
制作協力：ROBOT、ウインズモーメント
©日本テレビ
公式サイト：https://www.ntv.co.jp/chihayafuru-meguri/
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