『彼女、お借りします』第4期が“夏”にピッタリ ハワイアンズヒロインたちにハマってしまう
2025年も折り返しの時期を過ぎ、気付けば季節は猛暑ふるう夏へと踏み出そうとしている。しかし、どんなに暑くてもイベントに足を伸ばす人が多いのは毎年変わらない事実。夏祭り、海、バーベキューetc.……。夏の行事を数えるとキリがないくらいだ。そういったイベントに意中の相手と出かける人も多いのではないだろうか。
そんな現実世界の我々を見透かすように今夏のアニメには恋愛タイトルが多く名を連ねる。『薫る花は凛と咲く』『着せ替え人形は恋をする』『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』。どれもビックタイトル。群雄割拠のタイトルの中で第四期が公開されるのが『彼女、お借りします』だ。
『彼女、お借りします』はアニメが2020年に第1期が製作され、原作漫画は現在までに40巻が発売される人気タイトル。一体なぜ、愛されているのか。また、今夏の数多くの恋愛アニメの中でどのような光を放つのか。
主人公の木ノ下和也は大学1年生。七海麻美というモテる彼女が出来たが1カ月で振られてしまったチェリーボーイだ。和也は失意のもと、目についた「レンタル彼女」に申し込む。現れた水原千鶴はアイドルのように可憐で理想的な女の子だった。
この短い紹介でも、なるほどタイトルはそういう意味かと頷ける。表題の「レンタル彼女」とマンガお決まりのご都合展開(千鶴が隣に住んでいた等)を含め、2人はプライベートでもどんどん関わるようになる。
本作の魅力として心情展開の丁寧さが挙げられる。よく考えてみるとこの物語は終わらせようと思えばサクッと終わらせられるものだ。「主人公が紆余曲折あってレンタル彼女と付き合いました。」これで良い。だが本作はすでに40巻まで刊行されている。さらに学年も大学3年生になったばかり。2年を40巻かけて描き、また2年では簡単に恋人にはならない関係性。恋愛漫画として様々なお決まりシチュエーションを盛り込みつつも作者が2人の距離感を丁寧に描いていることが伝わる。
例えば和也に注目してみよう。和也は序盤には振られた元カノを引きずっているが、その理由を分解してみると性欲に振り回されている感が否めない。そんな和也が女性の性的な魅力にドギマギしているシーンが毎度どこに・どのようにドギマギしているのかが描かれている。また、そういった外見的な魅力を内面の魅力とごちゃ混ぜにしてしまうのも中々リアルだ。
描写の丁寧さはアニメでも変わらない。原作準拠で第1期から続いており、声優の魅力がファンの心を掴んでいる。
恋愛漫画をアニメ化するときはとにかく声優は命だ。が、例えば『ニセコイ』や『甘神さん家の縁結び』のようなヒロインが大勢いるタイトルの場合、無論声優全員が上手いに越したことはないがヒロインのうち1人だけ新人を使う等の試しの場になることもある。それは1人で全体の雰囲気が決まらない、かつファンの受け皿になるヒロインの数が多いからである。