『光が死んだ夏』『CITY THE ANIMATION』など 2025年夏アニメの“ダークホース候補”4選
失われた命に想いを馳せる 『cocoon~ある夏の少女たちより~』
戦後80年という節目に、NHKで放送されるのが『cocoon~ある夏の少女たちより~』。原作は今日マチ子が太平洋戦争の沖縄戦に着想を得て執筆した戦争マンガだ。
主人公のサンは、島一番の女学校に通う少女で、クラスメイトたちとともに学徒隊として戦争に参加することになる。当初は「お国のため」と意気込んでいた彼女だが、戦地には想像を絶する体験が待ち受けており、次々と仲間たちが犠牲になっていく。
原作の作中では少女たちの繊細な感性を通して、ガマ(洞窟)のなかで体験する出来事などが生々しく描写されており、戦争ものとして稀有なリアリティを獲得している。衝撃は大きいものの、戦争の記憶が伝わりにくくなっている今こそ多くの人が触れるべき物語だろう。
なお、メインキャラクターであるサンとマユの声を演じるのはそれぞれ伊藤万理華と満島ひかり。どんな演技によって同作の世界観を表現してくれるのか楽しみだ。
女子高生2人がしゃべるだけ!? 『フードコートで、また明日。』
今期のダークホース枠の1つとして注目したいのが、『フードコートで、また明日。』。登場人物たちの平凡な生活を淡々と描く“日常系”アニメの令和最新バージョンと言えるような内容だ。
主な内容としては、2人の女子高生が放課後にフードコートへと集まり、たわいのない話題に花を咲かせるというもの。数ある会話劇があれど、ここまで思い切った内容のアニメは少ないだろう。
主人公の1人は深窓の令嬢のようで周囲に敬遠されている和田(CV.宮崎ヒヨリ)、もう1人はギャルのような見た目で恐れられている山本(CV.青山吉能)。まったく違うタイプの2人だが、妙に息があった掛け合いを繰り広げていく。
監督は『彼女、お借りします』の古賀一臣で、シリーズ構成・脚本は『ラブライブ!』や『響け!ユーフォニアム』シリーズでお馴染みの花田十輝が担当。とくに花田といえば女性キャラクター同士の関係性を丁寧に描くことに定評のあるクリエイターなので、同作のアニメ化にはうってつけの人材ではないだろうか。
ほかにも2025年夏アニメには、今石洋之×TRIGGERによる破天荒カートゥーンアニメの続編『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』、強烈な設定の美少女ゲームを原作とした『ぬきたし THE ANIMATION』など、さまざまな注目作が揃っている。さらにここで名前を挙げていない作品の中から“本物のダークホース”が出てくる可能性もあるので、実際の放送を楽しみに待ちたい。