『ゴッドファーザー』から『トロン』まで 長期間続編が制作されなかった映画シリーズ
『マッドマックス/サンダードーム』(1985年)、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)
『トップガン』と同じく1980年代を代表するアクション映画の名作シリーズだが、本作も長年にわたって続編が制作されなかった。シリーズ1作目の『マッドマックス』(1979年)から3作目の『マッドマックス/サンダードーム』まで2年間隔でシリーズが公開されたが、その後は実に30年もの間隔が空くことになった。主人公はマックス(マクシミリアン)・ロカタンスキー(メル・ギブソン)から交代し、荒廃した世紀末的世界観のみを引き継いだ大幅なリニューアルが行われている。カーアクションが売りの荒っぽい内容でありながら、映像表現は限りなく芸術的で多くの映画ファンを熱狂させた。『トップガン マーヴェリック』と同様本作も、アカデミー賞に評価されづらいアクション映画でありながら、興行・批評の両面で成功しアカデミー賞の作品賞・監督賞を含む10部門で候補になっている。
『トレインスポッティング』(1996年)、『T2 トレインスポッティング』(2017年)
スコットランドの荒れた若者の青春を描いた名作は、冴えない中年たちの物語として続編が制作された。作中で死去したキャラクター以外はそのまま同じ俳優が再演し、時折挟まれる1作目のアーカイブ映像との対比から年月を感じさせる。1作目ほどのフレッシュさもスピード感もないが、エンディングで再びUnderworldの「Born Slippy (Nuxx)」が鳴り響いた時、胸に迫るものがあったのは筆者だけではないだろう。
『マトリックス レボリューションズ』(2003年)、『マトリックス レザレクションズ』(2021年)
アクション映画は特に続編の製作が多いが、18年ぶりの続編となる『マトリックス レザレクションズ』は少し変わった立ち位置にある。本作はラナ・ウォシャウスキー監督の両親が相次いで他界したことを影響に制作されたパーソナルな側面があり、ネオ(キアヌ・リーブス)が世界を救うために戦うのがそれまでの『マトリックス』なら、本作のネオはトリニティー(キャリー=アン・モス)を救うために戦う、それまでよりもパーソナルな物語になっている。今後の続編の可能性について監督自身が否定している。
『グラディエーター』(2000年)、『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(2024年)
完全に単独の作品と思われた『グラディエーター』も24年もの時間を隔てて続編が公開された。主人公は1作目のマキシマス(ラッセル・クロウ)からその息子のルシアス( ポール・メスカル)に交代している。ベテランスター俳優のデンゼル・ワシントンが新たな役柄で登場し、むしろ彼の方が主役ポジションより注目を集めた。1作目ほどではないが本作も批評的に成功した。
『ビバリーヒルズ・コップ3』(1994年)、『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー』(2024年)
エディ・マーフィーの名物キャラクター、アクセル・フォーリー刑事も長年スクリーンへの再登場がなかった。『ビバリーヒルズ・コップ3』が興行・批評の両面で失敗したダメージは簡単には癒えなかったのだろう。初登場時は20代の若者だったアクセルは初老のベテラン刑事になって再登場し、成人して弁護士として活躍する娘と凸凹コンビを組む。シリーズでずっと相棒を務めてきたビリー・ローズウッド(ジャッジ・ラインホルド)とジョン・タガート(ジョン・アシュトン)も再登場し、80年代のオリジナルの雰囲気を色濃く残した作品に仕上がっている。ジョン・アシュトンは本作が遺作になった。
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995年)、『ビフォア・サンセット』(2004年)
ウィーンで1日を一緒に過ごしただけの一期一会の関係かと思われたジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)に再会できると思っていたファンは多くなかっただろう。9年後に『ビフォア・サンセット』で再会した2人はパリで夕暮れ時のごく短い時間を過ごし、さらに9年後の『ビフォア・ミッドナイト』(2013年)で思わぬ関係へと発展していた。イーサン・ホークとジュリー・デルピーは18年に渡って同じ役を演じただけでなく、『ビフォア・サンセット』と『ビフォア・ミッドナイト』では脚本も兼任しており、もはや一心同体に近い存在だろう。
『トイ・ストーリー2』(1999年)、『トイ・ストーリー3』(2010年)
『トイ・ストーリー2』が興行・批評の両面で成功したにもかかわらず、『トイ・ストーリー』シリーズの続編は長年制作されなかった。1作目との間隔はわずかに4年だったが、2作目と3作目は11年もの間隔が空くことになった。長い時間経過のため子供だったアンディは青年に成長し、『トイ・ストーリー3』ではおもちゃたちとの関係に大きな変化が生じることになる。本作は興行・批評の両面で大成功し、アニメが評価されづらいアカデミー賞で作品賞、脚色賞を含む5部門の候補になった。さらに9年後に『トイ・ストーリー4』(2019年)が公開され、こちらも興行・批評の両面で成功した。2026年にはシリーズ5作目が公開されるとアナウンスされている。