興収で読む北米映画トレンド
実写版『ヒックとドラゴン』北米No.1発進、ヒットの方程式は『リロ&スティッチ』そっくり
そのほか今週は、A24製作のロマンティックコメディ『Materialists(原題)』が第3位に初登場。週末興収は1200万ドルで、公開4週目の実写版『リロ&スティッチ』(1550万ドル)を破るには至らなかったが、A24作品としては『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024年)と『ヘレディタリー/継承』(2018年)に次ぐ史上第3位のスタートとなった。
本作は『パスト ライブス/再会』(2023年)のセリーヌ・ソン監督による最新作で、ダコタ・ジョンソン演じる結婚仲介人が、ペドロ・パスカル演じる裕福な資本家、クリス・エヴァンス演じる役者志望の元恋人との三角関係を織りなす物語。製作費2000万ドルが投じられた。
思わぬことに、こちらは観客の間で賛否両論を巻き起こしている。Rotten Tomatoesでは批評家スコア86%と高評価だが、観客スコアは69%。CinemaScoreでも「B-」となった。もっともA24は、この映画が長期的に愛されることを確信している模様。大人向けのロマンティックコメディは集客しづらい傾向が続いているため、劇場公開後の人気にも注視したい。日本配給はハピネットファントム・スタジオ。
そのほか、前週に初登場した『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ映画『バレリーナ:The World of John Wick』は第5位にランクイン。週末興収は940万ドルで、前週比マイナス61.6%と大きめの下げ幅だ(人気フランチャイズ作品の推移としては珍しい現象ではない)。
北米興収は4183万ドル、世界興収は9153万ドル。製作費9000万ドルを鑑みると厳しい数字だが、ライオンズゲートは海外配給権の売り上げでコストの大部分をカバーしており、ビジネスとしてはさほど大きな問題ではないのかもしれない。日本公開は8月22日。
第9位『The Life of Chuck(原題)』はスティーヴン・キングの同名小説をトム・ヒドルストン主演で映画化した一作。公開2週目で上映劇場を1056館追加し、週末興収は214万ドル(前週比プラス854.8%)。前週の第19位から大幅ランクアップとなった。
本作は会計士チャールズ・“チャック”・クランツの人生を死から幼少期へとさかのぼって描くコンセプトで、監督・脚本・製作を『ドクター・スリープ』(2019年)など数々のキング作品を翻案してきたマイク・フラナガンが務めた。共演はキウェテル・イジョフォー、カレン・ギラン、マーク・ハミル、ジェイコブ・トレンブレイ、カール・ランブリーほか。日本ではギャガ配給で公開予定だ。
北米映画興行ランキング(6月13日~6月15日)
1.『ヒックとドラゴン』(初登場)
8370万ドル/4356館/累計8370万ドル/1週/ユニバーサル
2.『リロ&スティッチ』(↓前週1位)
1550万ドル(-52.1%)/3675館(-510館)/累計3億6637万ドル/4週/ディズニー
3.『Materialists(原題)』(初登場)
1200万ドル/2844館/累計1200万ドル/1週/A24
4.『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(↓前週3位)
1030万ドル(-30.5%)/2942館(-554館)/累計1億6631万ドル/4週/パラマウント
5.『バレリーナ:The World of John Wick』(↓前週2位)
940万ドル(-61.6%)/3409館/累計4183万ドル/2週/ライオンズゲート
6.『ベスト・キッド:レジェンズ』(↓前週4位)
500万ドル(-41.6%)/3008館(-851館)/累計4415万ドル/3週/ソニー
7.『Final Destination: Bloodlines(原題)』(↓前週5位)
390万ドル(-39.5%)/2138館(-729館)/累計1億3064万ドル/5週/ワーナー
8.『The Phoenician Scheme(原題)』(↓前週6位)
307万ドル(-51%)/1731館(+53館)/累計1280万ドル/3週/Focus Features
9.『The Life of Chuck(原題)』(↑前週19位)
214万ドル(+854.8%)/1072館(+1056館)/累計244万ドル/2週/NEON
10.『罪人たち』(↓前週9位)
147万ドル(-48%)/951館(-567館)/累計2億7548万ドル/9週/ワーナー
(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2025年6月16日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)
参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2025W024/
https://variety.com/2025/film/box-office/how-to-train-your-dragon-box-office-opening-weekend-materialist-strong-start-1236431729/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/how-to-train-your-dragon-box-office-opening-1236291090/
https://deadline.com/2025/06/box-office-how-to-train-your-dragon-1236432834/
■公開情報
『ヒックとドラゴン』
9月5日(金)全国公開
出演:メイソン・テムズ、ニコ・パーカー、ジェラルド・バトラー、ニック・フロスト
監督:ディーン・デュボア
製作:マーク・プラット、アダム・シーゲル
配給:東宝東和
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公式サイト:https://hic-dragon-movie.jp/