『おつかれさま』など韓ドラで目立つ“田舎志向” ポストコロナで急浮上した“癒し”の価値
「人生」を描くのにぴったりな済州島
一人の女性の生きざまを描いて話題となった『おつかれさま』や、さまざまな人々の人生模様をオムニバス形式で描いた『私たちのブルース』、幼なじみとの恋を貫く『サムダルリへようこそ』の舞台となったのが、韓国有数の観光地・済州島だ。済州島を舞台にしたドラマは数多くあるため、ソウルと同じぐらいメジャーになっている。
筆者だけかもしれないが、済州島は人生の厳しさや困難さを描くのにぴったりな場所だと感じる。『おつかれさま』のヒロイン、エスン(IU(青年期)、ムン・ソリ(中年期〜老年期))は、海女だった母を奪った済州島の海を憎んでいた。済州島の海は美しいが、ひとたび荒れると荒々しい光景を目の当たりにする。
『サムダルリへようこそ』でも、済州島の気象庁予報官を務めるヨンピル(チ・チャンウク)は、海女だった母を海で亡くしている。二度と同じ事故を起こしてはならないと初恋の相手で幼なじみのサムダル(シン・ヘソン)と疎遠になっても済州島に住むことにこだわり続けていた。
そして『私たちのブルース』では、済州島で懸命に生きる人たちと済州島を捨てて都会へ行く人たちが対比的に描かれており、それぞれの人生模様に胸が熱くなった。主役級のスターたちがこぞって出演しているのも魅力的だ。
特に物語のラストで描かれたドンソク(イ・ビョンホン)とオクドン(キム・ヘジャ)が和解するシーンに涙した人は多かったと思う。余命わずかなオクドンを連れて漢拏(ハルラ)山に行くドンソク。オクドンを背負って山道を歩くドンソクが、2人の人生の困難さを象徴しているようで、涙がこぼれた。
このように韓国の地方都市を舞台にしたドラマは、美しい景色とともに深い人間ドラマを描き、心に癒しとうるおいを与えてくれる。ぜひ韓国の地図を片手に舞台となった街がどこにあるかを確認しつつ、ドラマを楽しんでいただきたい。
参照
※ https://www.konest.com/m/traffic_info_detail.html?id=33260
※ https://www.konest.com/contents/area_detail.html?id=96
■配信情報
Netflixシリーズ『隠し味にはロマンス』
Netflixにて独占配信中
出演:カン・ハヌル、コ・ミンシ、キム・シンロク、ユ・ヨンソク
脚本:チョン・スユン
演出:パク・ダンヒ
クリエイティブディレクター:ハン・ジュニ