広瀬アリスが演じきった“反教師”像 『なんで私が神説教』は教師ドラマの常識を覆した
脚本を務めたオークラは、コメディの出自を活かしながら、従来の教師ドラマが避けてきた“言葉の失敗”や“すれ違い”を肯定的に物語へ取り込んでいった。説教が必ずしも成功しない構造が貫かれていたのもその一例である。静の説教はしばしば反感を生み、誤解され、生徒との関係性を一時的にこじらせもする。それでも彼女は口を閉ざさない。むしろ、その繰り返しの中で、言葉が形を変えていく過程が描かれてきた。
言葉は、常に状況により意味を変える。説教もまた、誰が、どの立場で、どんな動機で発するかによって、同じ台詞でも意味が変容する。『神説教』はその不確かさを、正面から描き切った数少ないドラマである。
静の説教は、いまやドラマの中で「言葉とは何か」「伝えるとは何か」を問う存在になっている。彼女の口から飛び出す最後の“言葉”が、単なるオチやカタルシスのための一撃に留まるのか、それともこの第10話を通じて積み重ねられてきた言葉の歴史の集積として機能するのかが、大きな焦点になるだろう。
正しさも、知識も、準備された理論もない。あるのは、不器用な感情と、それでも伝えようとする行為だ。それを“神説教”と名づけた本作は、テレビドラマにおける「説教のあり方」を大きく塗り替えた。最終話で、説教の定義がどこまで更新されるのかに注目したい。
『となりのナースエイド』『イップス』などのオークラが脚本を手掛ける、進学校を舞台とした完全オリジナル作品。他人と本音でぶつかり合えない大人たちに送る新たな学園ドラマ。初の教師役となる広瀬アリスが主演を務める。
■放送情報
『なんで私が神説教』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:広瀬アリス、渡辺翔太(Snow Man)、岡崎紗絵、野呂佳代、小手伸也、伊藤淳史、木村佳乃、堀内敬子
脚本:オークラ
演出:内田 秀実、南雲聖一ほか
チーフプロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:藤森真実、白石香織(AX-ON)
音楽:横山克
制作協力:日テレアックスオン
©日本テレビ
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