『めおと日和』“サブカップル”ふかふみが尊すぎる! 小関裕太はベストキャスティング

 小関がすごいところは「こういう男いるよね~」と女子会で盛り上がりそうなリアリティある男性像の体現もさることながら、現実には存在しないマンガチックなキャラも説得力をもって演じられることだ。第6話で、芙美子を喫茶店に誘い出した深見。席に着くなり彼は頬杖をつき、芙美子の顔を覗き込みながら「もう5分早く来れば良かったなあ。あなたの横顔に見惚れる時間がほしかったので」と語りかける。なつ美は「素敵!」とテンションが上がっていたが、なかなかに歯の浮くようなセリフだ。小関は前クールの『相続探偵』(日本テレビ系)でもロイヤルなオーラを放つ老舗和菓子屋の御曹司を演じていたが、こうしたキザなキャラは実写だと、ともすれば寒くなってしまう。にもかかわらず、しっかり様になっているのは小関が振り切って演じているからだろう。『ミュージカル・テニスの王子様』や『四月は君の嘘』など、2.5次元舞台での経験も活きているのではないだろうか。

 また、本作で光っているのは小関の表情管理の巧みさだ。例えば、喫茶店でなつ美の尾行に気づき、思わず無防備に笑った芙美子を見つめる深見の表情。「ふーん? そういう顔もできるんだ?」という感じでニヤッとしたかと思ったら、次の瞬間、口角がさらに上がるとともに目尻が下がり、優しげな表情になる。そんな2段階の笑顔に、多くの視聴者は完全に心を掴まれたのではないだろうか。「僕に近づいてくるのは家柄が目当ての人や、外見しか見てない人ばかりです」と芙美子に語る時の表情も印象的だ。そのどこか寂しげな笑顔に、表面ばかりで中身を見てもらえない深見の孤独を思わずにはいられなかった。

 そして最たるは、芙美子との見合い後に深見が自室で見せた顔だろう。芙美子が初めて自分から触れてくれた場面を反芻する深見は、居ても立っても居られず、心を落ち着かせるかのようにレコードを回す。しかし、すぐに俯き、「参ったな〜」とこぼした時の深見は恋してる人間の顔として百点満点の顔をしていた。結婚に恋情は不要と芙美子に言っていたのに、まんまと自分の方が惚れてしまったことへの情けなさ。でも、心から愛する人に会えた喜びを噛み締めているようにも見える。

 先日6月8日に30歳の誕生日を迎えた小関。20代最後に演じることとなった深見は、子役から様々なフィールドやジャンルで培ってきたものの総決算とも言える役柄となった。芙美子の夫となった深見の姿も小関の演技で見続けていきたいが、もう最終回目前。どうにか『波うららかに、めおと日和 〜ふかふみの場合〜』を制作してもらえないだろうか。

波うららかに、めおと日和

西香はちによる同名コミックを原作としたハートフル・昭和新婚ラブコメ。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描く。

■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
公式X(旧Twitter):https://x.com/meotobiyori
公式Instagram:https://www.instagram.com/meotobiyori/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@meotobiyori

関連記事