『べらぼう』えなりかずき&ひょうろくを最大限に活かした配役に “兄弟”の名演にワクワク

 画人としての顔も持ち、後に「蠣崎波響」という画号で知られることになる廣年。第22回「小生、酒上不埒にて」の予告でちらりと映っていたが、ひょうろくの持つ独特の間と、どこか掴みどころのない雰囲気が、芸術家肌の繊細さと藩の重責を担う者としての葛藤を描くにはピッタリだ。公式からは「心根の優しさがあだとなり、のちの松前家を揺るがしていく……」という設定が出されているが、俳優と役のリンクにおいてこれほどイメージしやすい設定も珍しい。

 
 
 
 
 
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大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」日曜夜8時(@berabou_nhk)がシェアした投稿

 松前兄弟は分かりやすいほど対極にある人物像だが、単純な善悪二元論として語ることはできない。えなり演じる道廣には狂気の中にも人間的な弱さがあり、ひょうろくの廣年には優しさの中にも藩を背負う者としての冷徹さが潜んでいるはずだ。狂気的な兄と、優しさゆえに苦悩する弟……。田沼意次(渡辺謙)が蝦夷地の上知に向けて動き出す中、この松前兄弟はどのような運命を辿るのか。

 そして第21回の放送を観て改めて感じたが、『べらぼう』はキャスティングが冴え渡っている。誰袖に福原遥、喜多川歌麿に染谷将太、大田南畝に桐谷健太、恋川春町に岡山天音と主演級のキャストたちはもちろん、地本問屋の声優たちや、狂歌の会のジェームス小野田、水樹奈々、栁俊太郎、浜中文一など個性派な面々もイキイキとしていて、毎週リアタイでSNSが盛り上がる要因はこうしたところにもあるのだろう。えなりの怪演に続いて、ひょうろくがどんな“名演”を見せてくれるのか待ち遠しい。

参照
https://realsound.jp/movie/2025/04/post-1990473.html

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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