2025年春ドラマから紐解く“現代の恋愛観” 『波うららかに、めおと日和』が刺さる理由
近年、男女の出会いの主流はマッチングアプリだ。身長や体型などの外見から、年齢・職業・収入・居住地といった基本項目、趣味や結婚観に至るまで、細かい条件から相手を絞った上で会えるマッチングアプリは一見手軽そうで、交際や結婚に至るまでには意外と時間がかかる。例えば、大学の先輩や会社の同僚なら友好関係や仕事ぶりから自ずと人柄が見えてくるものだが、アプリで出会うのはそれまで全く関わりがない相手なので、慎重にならざるを得ない。実際に相手が既婚者、経歴詐称、宗教勧誘目的などでトラブルになるケースも多いと聞く。
そのため、入会の際に本人確認書類や収入証明書などの提出が求められ、結婚願望が高い人たちが集まる結婚相談所を利用する若者も増えているが、登録料や成婚料などの費用がかかるのが難点。そう考えると、第三者のお墨付きでお金もかからずトントン拍子で結婚話が進むお見合いは今の若者のニーズに合っているのかもしれない。
さらに結婚に必ずしも恋愛感情は必要じゃないと考える人が増えているのも理由の一つだろう。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した「出生動向基本調査」の結果からも明らかなように、異性との交際あるいは性交渉の経験がない人、そもそもそういったことを望まない人も増加傾向にある現代。ただ、独身でいることの障壁が完全になくなったわけではない。未だに結婚を急かす親族や職場の人間も存在するし、そもそも一人で生きていくには多々不安がある社会だ。
だから理想を言えば、性的関係なしで精神的に支え合える相手が欲しい。そう、まさに11年ぶりに“続々編”として復活した『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の千明(小泉今日子)と和平(中井貴一)のような。2022年に放送された『恋せぬふたり』(NHK総合)では、他者に恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれない男女の同居生活が描かれ、こちらも視聴者から「理想の関係」という声が多く挙がっていた。しかし現実では、そういう相手に自然と出会うのは難しいため、友情結婚や共生婚に特化した結婚相談所も存在する。利用者はセクシャルマイノリティの方が多く、「一人で生きていくのは寂しい」「親を安心させたい」などが主な入会の動機のようだ。現在放送中の『三人夫婦』(TBS系)や『彼女がそれも愛と呼ぶなら』(読売テレビ系)では、複数の男女が全員同意の上、自分たちが定めたルールの下で暮らしていく姿が描かれている。もちろん相手次第だが、恋愛感情の有無を問わず、お互いを尊重し合える人生のパートナーを見つけたい場合はお見合いや縁談も有力な選択肢になり得る。
一方でお見合い結婚が主流だった時代には、気乗りしない相手と無理やり結婚させられて苦しい思いをした人もいることは念のため記しておきたい。お見合いがありかもしれないと思っている人もあくまで最終的には自分の意思が尊重されることが前提の上なのだろう。強制されないことを条件にすれば、ある意味で運命的な出会いを経験でき、信頼性が高い相手と初めから結婚を前提した関係を築けるお見合いは意外と現代の恋愛観と親和性があるのではないだろうか。
西香はちによる同名コミックを原作としたハートフル・昭和新婚ラブコメ。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描く。芳根京子の俳優デビュー作『ラスト♡シンデレラ』(フジテレビ系)を手がけた平野眞が演出を担当する。
■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
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