『いつか、ヒーロー』視聴者の魂を揺さぶる桐谷健太の“声” 複雑で難解な役を担う宮世琉弥

 また、第7話では、「希望の道」に通っていた勇気が、氷室(宮世琉弥)になるまでの過程が明かされた。

 氷室と若王子が初めて出会ったのは、氷室がまだ勇気だった時代。若王子は、「希望の道」でボランティアをしている時に、父親に「お前は弱くて役立たずの負け犬だから、若王子家の仕事はさせん。社会の隅で、おとなしく生きてろ」と言われてしまったらしい。施設の隅で隠れて泣いている若王子の存在に気づき、話を聞いてあげたのが、勇気だった。「人は、なににでもなれるんだ」という勇気の言葉に救われた若王子は、彼に執着をするようになる。

 大人になった勇気は、過労により意識が朦朧としている時に、事故に遭ってしまう。勇気が目を覚ました時、記憶がないのをいいことに、若王子は彼を洗脳した。勇気の戸籍を本物の氷室(駒木根葵汰)と入れ替え、自分の言うことを聞くモンスターに育てあげたのだ。

 勇気は、幼少期からリーダーシップを持っている子だった。リーダーシップというのは、みんなを良い方向に導くこともできる。でも、悪い方向に誘ってしまうこともできるから恐ろしい。誠司はそれに気づいていたのだろう。だから、「悪のブラックジャガーと、弱い人たちを守るいいブラックジャガー、どっちがカッコいい?」と問いかけたのだと思う。

 かつての勇気は、「弱い人たちを守るいいブラックジャガー!」とまっすぐに答えていた。しかし、若王子の洗脳によりサイコパスモンスターに姿を変えてしまった今は、「弱い人間は生きられない」と言い切ってしまうかもしれない。

 ただ最近、氷室がたびたび頭を抑える仕草をしているのが気になる。これは、「希望の道」の仲間たちとの再会が、事故以前の記憶を少しずつ呼び起こしているからなのか。回を追うごとに、氷室というキャラクターが、どれほど複雑で難解な役なのかを思い知らされる。

 次週は、ついに最終回。氷室としての狂気と、勇気としての優しさ。ふたつの人格が交差するなかで、宮世琉弥はどんな魂の芝居を見せてくれるのか。今から楽しみでならない。

いつか、ヒーロー

桐谷健太が主演を務めるオリジナルドラマ。『コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』などの林宏司が脚本を担当。金もなければ仕事もない元児童養護施設職員のアラフィフ男・赤山が、夢を失くしたかつての教え子たちとともに、腐った巨大権力相手に痛快な復讐劇を繰り広げる。

■放送情報
『いつか、ヒーロー』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信
U-NEXTにて全話配信
出演:桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねる、泉澤祐希、曽田陵介、星乃夢奈、でんでん、小関裕太、駒木根葵汰、板谷由夏、北村有起哉
脚本:林宏司
監督:アベラヒデノブ、星野和成、松本喜代美、松浦健志
チーフプロデューサー:南雄大(ABCテレビ)
プロデューサー:小森千裕(ABCテレビ)、比屋根り子(ABCテレビ)、松野千鶴子(アズバーズ)、増田玲介(アズバーズ)
主題歌:「HERO」石崎ひゅーい(EPIC Records Japan)
制作協力:アズバーズ
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/itsukahero/
公式X(旧Twitter):@abcdrama_hero
公式Instagram:@abcdrama_hero
公式LINE:@abc_drama

関連記事