ひょうろく、大河ドラマ初出演の衝撃 『水ダウ』で見せた演技力が『べらぼう』で活きる?
ひょうろくの演技には、どこまでがキャラクターで、どこからが素なのかわからないところがある。その底知れなさが、『コンシェルジュの水戸倉さん』では、人間としての“深み”として表れていた。『べらぼう』の物語に登場する松前廣年は、まさにそのような“深み”を要求される役柄になるだろう。廣年は、松前藩藩主の家に生まれながら、幼くして絵の才能を発揮し、画家の建部凌岱に弟子入り。大人になってからは藩に戻り、松前藩復興のために心血を注ぐも、「蠣崎波響」の名で絵師としての活動も継続した。
常識に囚われず、政治と芸術の両方に長けていた廣年。ひょうろくの醸し出す型破りな雰囲気は、そうした廣年の人物像と相性が良いように思える。見るからに一筋縄ではいかない存在感、そして一見コミカルでありながらも、内にある真摯さ。ひょうろくの持つ二面性こそが、廣年という人物に命を吹き込む鍵となるだろう。
さらに注目したいのは、廣年が横浜流星演じる蔦重とどのように関わってくるのか、という点である。文化的土壌を広げようとした蔦重と、文人や絵師と交流を持っていた廣年。史実としての接点は不明だが、『おんな城主 直虎』(NHK総合)や『大奥』(NHK総合)など、歴史ものの名作を手掛けてきた森下佳子の脚本であれば、この2人の交差を大胆に描き出すことも可能だろう。
ひょうろくという予測不能なカードがどんな化学反応を起こすのか。演技だけではなく、その登場の仕方にも注目したい。
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
総合:毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
BS:毎週日曜18:00〜放送
BSP4K:毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK