『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』キャラクター表情設定を総作画監督が解説

 全国公開中の『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』のキャラクター表情設定と場面カットが公開された。

 2006年に放送された『怪~ayakashi~』の一編「化猫」から派生し、翌年にテレビアニメシリーズとして放送されて以降、根強く愛され続けている『モノノ怪』の劇場版シリーズ。謎の男・薬売りが、人の情念や怨念が取り憑いたモノノ怪によって引き起こされる怪異を鎮める物語で、和紙テクスチャを活用した映像美が国内外から高く評価されている。

 劇場版は三部作構成となっており、2024年7月に第一章『劇場版モノノ怪 唐傘』が公開、3月14日より『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』が封切られた。そして第二章の公開日を迎えた3月14日、第三章が2026年春に公開されることが発表された。

 公開されたのは、薬売り、そして第二章の物語の中心となる御中臈・フキとボタンの表情設定。本作でアニメーションキャラデザイン・総作画監督を務める高橋裕一が、作品にかかわるたくさんのアニメーターのガイドラインになるよう描いたものだ。高橋は表情設定を描くにあたり、そのキャラクターの視線の先にいる別のキャラクターとのやり取りを想像するという。その言葉のとおり、どういう状況で誰に向けられた表情なのか、設定を見るだけで鮮明に思い浮かんでくる。表情設定からも感じられる、浮世離れした美しさとミステリアスさも薬売りの魅力のひとつ。本編カットの作画においては、薬売りを通じて観客の感情をどう揺り動かしていくのか、中村監督からは「お客さんのハートを掴むような表情」「このカットがセールスポイント」など、明確な演出意図の元にオーダーがあったそうだ。

 また、『劇場版モノノ怪』のキャラクターデザインの特徴のひとつは口元。通常歯の区切りは描かないことが多いが、本作ではそこに縦線で区切りを入れている。さらに、台詞の際の口パクは通常、開け口、閉じ口、中間の中口の3枚を組み合わせて表現するが、本作は「う」の口の形と、「お」の口の形のパターンも加えている。口元アップのカットも多いため、視線を口にしっかりと誘導する意図があるという。

 女中のキャラたちはそれぞれ髪色が違い、黒髪から明るい髪色まで個性あふれる色合いを放つ。色彩設計の辻󠄀田邦夫曰く、「黒髪を表現する場合濃いグレーや濃い緑などを使うのがひとつの方法だが、本作では定番の表現を避け、同じ黒髪でもそのキャラクターらしい色味で黒髪を塗っている」という。大奥という閉じられた空間にたくさんのキャラクターが登場する本作。辻󠄀田は、「キャラクターをいくつかのグループにわけて色の傾向を決めている」とも明かしている。

■公開情報
『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』
全国公開中
出演:神谷浩史(薬売り役)、日笠陽子(時田フキ役)、戸松遥(大友ボタン役)、梶裕貴(時田三郎丸役)、細見大輔(坂下役)、黒沢ともよ(アサ役)、ゆかな(サヨ役)、青木瑠璃子(マツ役)、芹澤優(キヨ役)、茜屋日海夏(タケ役)、森なな子(スマ役)、入野自由(天子様役)、津田健次郎(溝呂木北斗役)、種﨑敦美(幸子役)、チョー(時田良路役
)、堀内賢雄(老中大友役)、楠見尚己(勝沼薬)、堀川りょう(藤巻役)、榊󠄀原良子(水光院役)
総監督:中村健治
監督:鈴木清崇
キャラクターデザイン:永田狐子
アニメーションキャラデザイン・総作画監督:高橋裕一
美術設定:上遠野洋一
美術監督:倉本章、斎藤陽子
美術監修:倉橋隆
色彩設計:辻󠄀田邦夫
ビジュアルディレクター:泉津井陽一
3D監督:白井賢一
編集:西山茂
音響監督:長崎行男
音楽:岩崎琢
プロデューサー:佐藤公章、須藤雄樹
企画プロデュース:山本幸治
主題歌:アイナ・ジ・エンド「花無双」(avex trax)
エンディングテーマ:「渇望」アイナ・ジ・エンド(avex trax)
配給:ツインエンジン、ギグリーボックス
制作:くるせる、EOTA
製作:ツインエンジン
©︎ツインエンジン
公式サイト:https://www.mononoke-movie.com/
15周年記念サイト:https://www.mononoke-15th.com/
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